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20021123 良質な試験問題

 今年、ノーベル賞を受賞した小柴氏$${^{*1}}$$が50年ほど前に中学校で臨時講師をしていた時に「この世に摩擦$${^{*2}}$$がなければどうなるか答えよ」という試験問題を出した事があったらしい。この話を知って、私が高校時代の化学の先生が出した試験問題$${^{*3}}$$を思い出した。自分で問題を作ってその問題に答えよ、という設問だった。私は駄洒落問題を作って記入したが、正解となった。

 「この世に摩擦がなければどうなるか答えよ$${^{*4}}$$」の正解は鉛筆の先が滑って何も書けないから「白紙答案にすること」だったという。まぁ、これも駄洒落答案の一種だろう。正解が「白紙答案にすること」のみであったことではないと思う。「白紙答案」も正解だったのだろう。当時の教え子達が記憶している「正解者が3人」というのは「正解者が3人しかいなかった」のではなく「3人白紙答案で出して、それも正解となった」と言うことに違いない。

 本当に判って白紙にしても、全く思いつかないので何も書けず白紙にしてもどちらでも正解になるというのは面白い。

 たとえ何も書けなくても、そのような状態になるまで考えただろう。設問は簡単な文章なので中学生にその内容が理解できないことはない。試験で理解度を確認するだけではなく、受験者全員に考えさせることも目的としている良質な試験問題である。

 もしかしたら「名前さえ書いてあれば白紙でも1点はやる」というのと同じ様な発想で作った問題かもしれないが、いろいろ考えさせる話である。

*1 20021010 ノーベル賞(2)
*2 20000424 摩擦
*3 20000915 シラン
*4 答えを探す|有明抄|佐賀新聞LiVE 2002年10月31日 小柴昌俊さん:この世に摩擦がなければ 「白紙答案」が正解

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