20030513 スズメと日本野鳥の会
砂肝の話$${^{*1}}$$をしながら、話題は鳥関係に移っていった。
一緒に飲んでいた知人がどこかで聞いたところに因ると「スズメは捕獲禁止になっているので飲み屋で出てくるのは全て輸入である」「日本野鳥の会の発端は野鳥を保護するのではなく、如何に食するかを考える会だった」という。いくら何でもそんなはずはないと言うと、知人も真偽の確証はないと言っていた。
いくら荒唐無稽な作り話しでも何かが元となっているはずである。それが何かが気になる。
捕獲禁止かどうかは鳥獣保護法$${^{*2}}$$に依る。鳥獣保護法$${^{*3}}$$には「狩猟鳥獣以外ノ鳥獣ハ其ノ捕獲(殺傷ヲ含ム以下同ジ)ヲ為スコトヲ得ス」とある。捕っていいとされている野鳥以外は捕獲してはいけないのである。基本的に野鳥は捕獲禁止$${^{*4}}$$で、捕っていい野鳥は環境大臣$${^{*5}}$$が決めることになっている。スズメは野鳥なので基本的には捕獲できないが、捕ってもいいとされる29種類の「狩猟鳥」$${^{*6}}$$に含まれているので、捕獲しても違法にならない。従ってスズメ$${^{*7}}$$が捕獲禁止というのは現時点では間違いである。
日本野鳥の会$${^{*8}}$$は1934年に創立$${^{*9}}$$された。中西悟堂(ごどう)$${^{*10}}$$という人が中心となって作った。野鳥の会創立当時は、野鳥を自然のまま観察するという考え方は普及しておらず、野鳥を楽しむと言えば捕まえて飼ったり食べたりすることであった。その中、野鳥を本来の姿で観察して研究したり楽しんだりすることを中西氏は提唱した。
日本野鳥の会「以外」が「如何にして野鳥を食べるか」を考えていたのであった。何故、野鳥の会が「食べる会」だったという話になってしまったのだろうか。
鳥獣保護法の起源$${^{*11}}$$は1873年(明治6年)に出来た「鳥獣猟規則」らしい。この法律は安全や秩序維持のために狩猟の規則を定めたものだった。鳥獣保護法はもともとは鳥獣の保護ではなく、如何に「捕って食べるか」を規制した法律ということになる。
「日本野鳥の会の発端」の話は、この「鳥獣保護法の発端」がいつのまにか「日本野鳥の会」にすり替わってしまったのだろう。
*1 20030507 砂肝
*2 鳥獣保護法について
*3 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(廃) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
*4 鳥獣の捕獲規制について
*5 環境省へようこそ!
*6 野鳥観察の法律Q&A(Ver.2)【狩猟鳥と非狩猟鳥】
*7 スズメ
*8 WILD BIRD SOCIETY OF JAPAN
*9 沿革
*10 作家紹介 中西悟堂(なかにし ごどう)
*11 鳥獣保護法 鳥獣保護法は、もともと「狩猟」についての法律だったのですか?