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20010704 屁ひり虫奇説
また耳袋$${^{*1}}$$の話題。屁ひり虫奇説と題された随筆がある。
「屁ひりむし脊中に白き星あり。右むしを捕へ、板或ひは畳におしつけて、屁をひり粉を出す事、脊の星の数程なり。其数過(すぎ)ぬれば、屁をひらず、また粉を出さざるよし」
解説には屁ひり虫とは「ミイデラゴミムシ$${^{*2}}$$」のことであるとあった。私はミイデラゴミムシを捕まえた記憶がない。写真を見ると見たことがあるような気がするが、その虫の屁の臭いは嗅いたことはない。相当臭いらしい。
この屁の素はベンゾキノン$${^{*3}}$$という物質らしく、もの凄く危険な物質$${^{*4}}$$のようである。ミイデラゴミムシは体内の貯蔵袋に過酸化水素とヒドロキノン$${^{*5}}$$を貯えており、屁をこく時にこの二つの物質を反応室に入れ酸化酵素を触媒としてヒドロキノン$${^{*6}}$$を酸化させるらしい。この時に反応熱が出て、ガスは100℃$${^{*7}}$$ぐらいになるようだ。
100℃程度の反応熱に耐えうる器官を昆虫が持つというのも凄いが、過酸化水素を自分で作っているというのも凄い。どうやって作っているのだろう。ヒドロキノンは有機化合物なので生物体内で出来そうな感じがする。
耳袋ではその屁こきの回数は背中の星の数程度だ、というのだ。星の数は2個なので2回ということなのだろうか。屁をこく回数と背中の星の数に因果関係はおそらくないだろう。この言い伝えが太古の昔からあり、星の数と屁の回数が合わない個体は人類によってことごとく駆除され生き延びたのは背中に2個の星を持つものだけになった、という訳ではあるまい。
*1 20010703 虫歯痛みを去る奇法
*2 ミイデラゴミムシ Pheropsophus jessoensis Morawitz | イカリ消毒 害虫と商品の情報サイト
*3 ヘッピリムシ
*4 国際化学物質安全性カード(WHO/IPCS/ILO)
*5 ハイドロキノン Hydroquinone
*6 ミイデラゴミムシ
*7 2000.10. 7 100℃のおなら