20001024 便器の蓋
最近、ある随筆を読んで洋式の便器$${^{*1}}$$に蓋が付いているのは何故かという疑問に気付いた。今まで全く気にしたことがなかった。確かに肥溜式の便所であれば臭いの拡散を防ぐために蓋を付けるのは納得がいくが、水洗便所では臭いなど出てこない。便器に溜まっているのは通常は水しかない。
肥溜式であればその穴から妖怪$${^{*2}}$$が出てくる心配もある。そういえば、真夜中に便所に行ったら紙がないので家族の者に紙を持ってきてもらおうとしたら、何色の紙がいいのかと訊ねてきたので「青色」と答えたら便所の穴から青い手が出てきた、と言う怪談が小学生の頃に流行った。
とにかく肥溜汲み取り式の便所にはいろいろと不都合があるので蓋があっても不思議ではないが、洋式は必ずと言っていいほど水洗式なので蓋の意味がないように思える。
水洗便所$${^{*3}}$$は1596年にJohn Harington$${^{*4}}$$によって発明された。しかし一般に設置されるようになったのは下水が発達する19世紀以降であった。
洋式便器の歴史$${^{*5}}$$を見ると古い便器には蓋が付いているものと付いていないものが見られる。
もしかしたら蓋は汚物を流すとき、水が勢い余って汚物と供に飛び出してくるのを防ぐために付いているのかも知れない。そうだとすると作法としては流す前に蓋をすべきである。しかし飛び出すのを防ぐために蓋があるのなら、次に使う人は背中に人の糞が付くのを恐れながら用を足さなければならない。一体何のために蓋があるのだろうか。
*1 TOTOのトイレ:TOTO
*2 19991231 大晦日のまじない
*3 Sir John Harington and the water closet
*4 Sir John Harington 1561-1612
*5 History of Toilet Habits