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20090727 全周夕焼け

 日蝕の日$${^{*1}}$$には日本放送協会のテレビジョン番組で日蝕の様子の生中継が放映された。日蝕観測に出かけて行って、空が曇って万が一日蝕が見られないと悔しいので、録画しておいた。日蝕観測から帰ってきて$${^{*2}}$$からその録画を観た。

 皆既日蝕帯$${^{*3}}$$に位置しており、今回の日蝕が日本で一番最初に観測できる屋久島$${^{*4}}$$や悪石島$${^{*5}}$$は大雨で日蝕の中継は全くできていなかった。次の中継点である硫黄島$${^{*6}}$$およびその近辺を航行中の日蝕観察ツアー船では晴れていたので、皆既日蝕の完全中継が放映されていた。

 硫黄島と船上とからはそれぞれ気象庁の専門家が皆既日食についての解説をしていた。小さな島や洋上では皆既日蝕時の全天全周が観測できるので、これもまた楽しみだと伝えていた。皆既日蝕で空が暗くなると水平線付近の空は夕焼けの様に赤くなると説明している。全周が夕焼けのようになるらしい。中継を見ていると確かに皆既日蝕になって空が暗くなると水平線の全周三百六十度が夕焼けの様になっていた。これは面白い。こんな風景が見られるのはまさに皆既日蝕の時だけだろう。

 何故このようなことが起こるのか。直感的には皆既日蝕が見られる範囲は、丁度月の丸い影が地上に落ちている範囲のみ$${^{*7}}$$で、その部分は「夜」であり、その部分以外は「昼」である。夕焼けは夜と昼との境目で起こるのだから、皆既日蝕の時に夕焼けが見られるのは当然、と言うことになる。

 実は地球上で夕焼けは二十四時間起きている。二十四時間であるためには常に晴れていることが条件であるが、地球全体で見れば夕焼けと同時に朝焼けが起こっており、しかもそれらは地球を一周して繋がっている$${^{*8}}$$。刹那刹那が三百六十度夕焼け朝焼けなのである。皆既日蝕の時だけの現象ではない。夕焼け朝焼けは地球自身の影との境目で起きているので、地球表面上でそれを一度に見ることは不可能$${^{*9}}$$だ。しかし月の影は地球に比べて小規模なので影の境目の全周が地上で観測できる。そして影即ち「夜」と日向(ひなた)即ち「昼」との境目だから全周で夕焼けが見えることになる。

 だがこの説明では、どうも腑に落ちない。

*1 20090722 日蝕観測
*2 20090724 日蝕観測(3)
*3 皆既日食が見られる間隔
*4 20020101 カルマン渦
*5 悪石島
*6 気象庁 | 硫黄島
*7 2009年7月22日皆既日食の情報:国立天文台 mechanism1.jpg
*8 20040717 空の赤(2)
*9 APOD: 2001 October 15 - The Earth and Moon Planetary System

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