見出し画像

20001127 CCDとBBD

 CCD$${^{*1}}$$はCharge-Coupled Deviceの略である。デジタルカメラやビデオカメラの網膜$${^{*2}}$$に相当する部分で、光を電気信号に変換する半導体のシリコン単結晶で作られる電子装置である。CCD$${^{*3}}$$を日本語に訳せば「電荷結合素子」になる。1969年にベル電話研究所のボイルとスミスが発明$${^{*4}}$$した。訳語から分かるように「CCD」と「光や画像」とは直接関係がない。CCDを画像センサとして使った結果、広く庶民が手にする装置となったのである。

 CCDの仕組みは非常に面白い。光などの作用で発生したシリコン単結晶中の電荷chargeの塊をバケツリレーのように結晶中の表面近くで次々に運んで行き、最後にそれを電気信号として電線を使って他の電子回路素子に受け渡す。結晶中の電荷を運ぶ道筋に傷があると電荷がその傷で吸収されたり、余分に発生したりして、最初に発生した電荷が正しく運べなくなる。画像用のCCDであれば画像中に変な模様が出てくることになる。この単結晶の傷は、シリコン以外の数個の不純物金属原子によっても発生したりする。従って200万画素中でその様な傷を一つも発生させないでCCDを作ると言うことは考えてみれば神業に近い生産技術である。

 CCDによく似た装置にBBD$${^{*5}}$$という装置がある。これもCCDと同様、半導体であるシリコン単結晶で作られる。違うのはBBD$${^{*6}}$$の場合はMOS型と呼ばれるトランジスタが並んでいて、これが順次に電荷を運んでいく。CCD$${^{*7}}$$の場合はトランジスタは並んでいなくて電極がシリコン酸化物の上に並んでいるだけだ。

 BBDはBucket Brigade Deviceの略である。訳はそのままで「バケツリレー素子」になる。発明はCCDが先かBBDが先かよく分からないが、BBDは作為が感じられる命名である。

*1 CCDセンサーの仕組み
*2 20000612 網膜細胞と三原色
*3 Introduction to Charge-Coupled Devices (CCDs)
*4 Bell Labs: George Smith and Willard Boyle Win C&C Prize for Charge-Coupled Device
*5 IfE SA/DA Ausschreibung
*6 SAD-1024 DUAL ANALOG DELAY LINE
*7 CCD Arrays

いいなと思ったら応援しよう!