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20010711 亀甲岩

 先日、家族でちょっとした旅行に行った。亀好き$${^{*1}}$$としては道中に「亀甲岩$${^{*2}}$$」という看板が出ていたので気になって仕方がなかった。飛鳥の亀石$${^{*3}}$$みたいなものがあるといいなぁと思ったが、場所柄そのような期待は限りなく薄い。恐らく玄武岩であろうと思った。

 梅雨時だったので翌日はあいにく朝から雨が降っていた。元々旅行先は見物するものがあまりないのだが、更に雨が降っていたので動き回りたくなくなっていた。そんな家族の意識につけ込んで、件の「亀甲岩」を見に行く提案をした。皆、どうでもよいと気持ちになっていたのですぐ同意が得られた。

 山道は平野部の道よりも距離が長く感じられる。目的地を示す看板が殆どなく、あっても朽ちかけてあらぬ方向を向いていたり、小さくて見落としそうなものしかなかったので余計に長く感じた。本当にこの道でいいのかと不安にかられながらも亀甲岩に辿り着いた。

 思った通り玄武岩$${^{*4}}$$であった。六角形が亀の甲を思わせる。玄武岩は中国・九州地方には多く見られるが、中部地方では比較的少ないようである。この玄武岩はおよそ1500万年から950万年前に噴出したものと考えられている。この岩を横から見ると六角柱が重なった形になっていることがよく分かる。地中から斜め上に向かって六角柱の束が突き出している。

 玄武岩は何故こんな六角柱の形になるのか。玄武岩の結晶が六方晶$${^{*5}}$$だからではないかと漠然と思っていた。玄武岩$${^{*6}}$$には色々なものが含まれており単一の物質で構成されているわけではないので、結晶というわけではないようだ。ではどうして綺麗な六角柱ができあがる$${^{*7}}$$のか。マグマが冷えて固まる時にある条件が揃うとあのような形$${^{*8}}$$になるらしい。出来方はこのページに解説$${^{*9}}$$してある。何となく分かったような、分からないような感じだ。この原理から言えば六角である必要はなく四角でも三角でも他の多角形の組み合わせでもよいだろう。現に六角ばかりではないようだ。

 玄武岩の由来が玄武洞$${^{*10}}$$であることを知った。玄武洞には五つの洞$${^{*11}}$$があって、それぞれに玄武、青龍、白虎、南朱雀、北朱雀と名前が付けられている。これらの洞の名前がいつ頃から付けられたのか分からないが、六角柱ということから明らかに亀の姿をした想像上の中国の動物「玄武$${^{*12}}$$」がまず発想されて、そこから洞の名前に四神$${^{*13}}$$の青龍、白虎、朱雀が付け足されたのだろう。「南朱雀、北朱雀」というのが如何にもこじつけであることを感じさせる。

 「玄武岩」という名前の由来$${^{*14}}$$は兵庫県の玄武洞であるが、結局の所その玄武が亀の怪獣であるので、元々の由来は六角の亀甲である。

*1 20010708 石を食べる亀
*2 長野県下伊那郡根羽村付近
*3 http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/mmdb/marc4/nara/asuka/15.jpg
*4 池ノ平の亀甲岩
*5 結晶構造解析のための空間群
*6 地球のからくり
*7 火山学会ホームページ 柱状節理*Q61
*8 1.柱状節理について
*9 六角柱の出来るしくみ
*10 玄武洞公園
*11 玄武洞2
*12 玄武
*13 四神旗(ししんき)はどういう順番に並べたらいいのですか
*14 玄武岩 Basalt -ものしり教室-

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