20040707 海の青
海はなぜ青いか。空の青が映っている$${^{*1}}$$と思っている人が意外に多いことを知って驚いた。そんなはずはない。
この写真$${^{*2}}$$は今年の四月、西表島に行った時$${^{*3}}$$に撮ったものである。空には厚い雲が一面にあって青空が一切ない。それなのに海は青い。手前の方は珊瑚の関係で色が着いて見えるのだろうか。遠くに珊瑚礁で砕ける波が小さく見える。少し緑がかっているが、青い。空の色が映って青くなると言うのは明らかに可笑しいだろう。
海が青い主な原因は「水が青い」からである。これはきれいな海に潜るとよく判る。海の中は青い$${^{*4}}$$。水の中では赤い光が吸収されやすく、青い光が通過しやすい。赤と青との中間の波長の黄色や緑も赤ほどではないが吸収される。太陽の光のように色々な色の光が混ざって白くなった光を通せば青色の光だけが目に届くので青く見える。
コップの水は無色透明だが、何メートルもある細い管に水を満たして太陽光を当てて覗き込めば水は青く見える$${^{*5}}$$。水によく似た重水$${^{*6}}$$は、目に見える光を殆ど通過させるので細い管に入れても青く見えない。透明のままである。
ところが調べてみると空の青さも関係している$${^{*7}}$$という。
海が青く見えるのは、海から青い光が飛んできて目に入るからである。海から飛んでくる光には「海面で反射する光」「海中の浮遊物に反射してくる光」「海底で反射する光」がある。海面で反射する光は空が出ていれば青い光で、曇り空なら白い光だろう。海中から来る光は、青い光だけにふるいを掛けられているので、空が晴れだろうと曇りだろうと青い光である。こう考えると、海が青いのは「水が青いから」であって空が青いからではないことになる。ついでに空の青も映っている程度である。
船に乗って海を見下ろせば青く見える。水は目に見える光$${^{*8}}$$を殆ど通すから、海面で反射してくる光は殆どない。海が青いのはやはり空が青いからではない。重水の海ならどうだろう。浅ければ海底が見えるだけだろう。かなり深いとどうか。重水は赤い光よりもほんの少し青い光を余分に吸収する$${^{*5}}$$。緑と赤との光が残るので重水の深い海は黄色く見える$${^{*9}}$$のかも知れない。青空が出ていても。
*1 Google 検索: 空 海 青 なぜ
*2 bluesea.jpg
*3 20040401 石垣島・西表島
*4 20040407 石垣島・西表島(7) 040404w0204.jpg
*5 WHY IS WATER BLUE
*6 20010614 重水素
*7 海が青く見えるのはなぜですか?
*8 20001114 青色発光ダイオード
*9 色素を混ぜるとどうなるのですか?