20070716 温暖化の説明図
地球温暖化が大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスによって引き起こされているのを簡単に説明する図をよく見かける$${^{*1}}$$。もし大気がなければ、地球の表面は$${-18\degree C}$$程度になってしまい、二酸化炭素が含まれる大気があるので現在は$${+15\degree C}$$程度になっているらしい。
何故、大気がないと地球の表面温度は$${-18\degree C}$$になってしまうのだろう。地球の表面温度は太陽に照らされている結果である。$${-18\degree C}$$といっても、宇宙の平均温度は$${-270\degree C}$$ぐらい$${^{*2}}$$なので、かなり温められている。この地球表面の温度は太陽からの光の強さが変わらない限り変化しない。地熱$${^{*3}}$$も少しは影響があるかも知れないが、夜になれば大抵温度が下がるので、やはり太陽からの光が表面温度を決めている$${^{*4}}$$。
「$${-18\degree C}$$」と言うのは簡単に計算できる$${^{*5}}$$。これはある法則に基づいて計算される。ステファン・ボルツマンの式$${^{*6}}$$を使う。ある物体から放射される赤外線(熱線)の面積当たりのエネルギーはその物体の絶対温度の四乗に比例するという式$${^{*7}}$$だ。絶対温度というのはこの世の最低温度を「$${0}$$」とする考え方で単位は「$${K}$$(ケルビン)」だ。普通の摂氏温度に$${273}$$を足せば絶対温度に換算できる。温度は物体を構成する分子や原子の運動だからこれが完全に止まった状態が「絶対温度$${0}$$度」となる。宇宙の平均温度は$${-270\degree C}$$なので$${273}$$を足すと「$${3K}$$」になる。殆ど完全に凍りつく寸前の温度なのである。
物体からの放射エネルギーが計測できれば、その値から温度がステファン・ボルツマンの式を使って計算できる。耳式体温計$${^{*8}}$$もこの原理を使っている。
こういう説明があった。もし大気がなかったらステファン・ボルツマンの式から地球の表面の温度は$${-19\degree C}$$になる$${^{*9}}$$。これはこれでいい。太陽から降り注ぐエネルギーの計測値によって計算結果が若干ずれているが、これは大した問題ではない。
次に大気がある場合を説明している$${^{*10}}$$。便宜的に温室効果ガスを含んだ大気は薄い膜のようなガラス板のようなものを想定する。これは温室効果と温室そのものとを混同する原因$${^{*11}}$$になっているが、エネルギーの収支を表現するためだけならいいだろう。
太陽から地表には1平方メートル当たり$${236W}$$のエネルギーが降り注がれている。大気の膜からは上下に1平方メートル当たり$${236W}$$のエネルギーが出ている。宇宙から見ると大気がなくてもあっても地球から出ているエネルギーは地表もしくは大気からの直接の反射の$${102W}$$と$${236W}$$とを足して$${1}$$平方メートル当たり$${338W}$$になる。太陽からは$${338W}$$来ているので収支があっている。この状態であれば宇宙から見て地球が「$${-18\degree C}$$」となっているのは、大気の存在、更には二酸化炭素の存在は全く関係ない。
大気がある場合、大気から上下に$${236W}$$出ていると仮定しているので地表には太陽からの$${236W}$$と大気からの$${236W}$$が降り注いでいることになる。この状態が保たれていれば地表からは二つの合計の$${472W}$$が放射されていることになる。この$${472W}$$から地表の温度を計算すると「$${+29\degree C}$$」になるようだ。これで温室効果ガスを含んだ大気の存在によって地表の温度が上昇すると説明できる、と言っている。
どうも腑に落ちない。
*1 環境白書
*2 国立科学博物館-宇宙の質問箱-宇宙論編
*3 地熱発電の基礎知識(1)
*4 20051110 地球を温めるもの
*5 火星の放射平衡温度を示す式とその説明をして欲しいのですが…【古典物理】
*6 ステファン・ボルツマンの法則(Stefan-Boltzman's law)
*7 シュテファン・ボルツマンの法則(1884年)
*8 20000314 体温計
*9 もし地球に大気がなかったら(図1)
*10 参考資料(大気関連)
*11 20070715 温室効果ガス
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