見出し画像

20090803 濁河温泉

 気の置けない仲間の四人$${^{*1}}$$で温泉へ一泊旅行に出かけた。行き先は濁河(にごりご)温泉$${^{*2}}$$である。

 長引く梅雨のため、出発の朝から雨が降っていた。集合場所に集まってから自動車で目的地に向かった。第一の目的地は、濁河温泉への途中にある木曽福島$${^{*3}}$$の「駒の湯$${^{*4}}$$」である。ここで一旦、温泉につかる。そして昼を食べる。

 木曽福島に少し早く着きそうなので、寄り道をした。「寝覚(ねざめ)の床$${^{*5}}$$」を見に行った。走っていた国道十九号線沿いの木曽川にその「床」がある。

 史跡名勝天然記念物$${^{*6}}$$に指定されているらしい。指定されたのは大正十二年三月である。史跡名勝天然記念物保存法の施行が大正八年なので、相当年季の入った名勝のようだ。現在、この法律は文化財保護法$${^{*7}}$$に取って代わられている。国指定文化財等データベース$${^{*8}}$$によると「花崗岩ヨリ成レル木曽川ノ峽谷ニシテ河幅逼リ両岸殆ト垂直ニシテ深潭$${^{*9}}$$ヲ成シ其ノ區域甚ダ狹小ナレトモ標式的ノ花崗岩峽谷ナリトス両岸ニハ階段アリテ處々ニ水蝕ノ爲メ刳ラレタル痕跡アリ岩石中ニハ数多ノ甌穴$${^{*10}}$$アリテ釜石獅子岩象岩鳥帽子岩屏風岩等ノ名アル竒岩アリ」とある。

 駐車場に自動車を停めて暫く歩いて行くと対岸に「寝覚の床$${^{*11}}$$」が見えてきた。看板の説明$${^{*12}}$$によると、この寝覚の床はお伽噺の浦島太郎$${^{*13}}$$に関係しているらしい。龍宮城から帰ってくると世間は三百年も経ってしまっていた。村には太郎の知る人が誰もいないので、寂しさから諸国を旅して廻ることにした。たまたまこの地を訪れるとその素晴らしさからここで住むようになる。ある日、龍宮城を懐かしんで、持っていた玉手箱を岩の上で開けたところ、中から煙が出てきたと同時に太郎は三百歳の老人になってしまった。

 何故「寝覚の床」という名前が付いているのか。浦島太郎が乙姫に龍宮城から帰された時ふと目覚めると自分の故郷の海辺の村ではなく、ここ木曽の山奥の川縁の岩の上だった、と言う訳でその話に因んで「寝覚の床」と名付けられたと以前に聞いた。これならば寝覚の床の名前の由来ははっきりするが、看板に書いてある話だと何故「寝覚」という名前がついたのか判然としなくなる。もしかしたら浦島太郎が来る前から「寝覚の床」と呼ばれていたのかもしれない。

 「寝覚の床」の手前の岸の岩上に何人か人がいたのでそこまで行きたかったが、しばし止んでいた雨がまた降り出した。急いで駐車場の自動車に戻って、ここを後にし木曽福島の温泉に向かった。

*1 20081213 日間賀島 ※この日付の記事は存在しない。後で書くつもりで、結局書きそびれたのだろう。
*2 濁河温泉周辺の温泉 お風呂のある宿・ホテル-じゃらんnet
*3 木曽町観光協会 温泉宿泊施設一覧
*4 信州 木曽福島 温泉旅館 "木曽古道 ぬくもりの宿 駒の湯"
*5 寝覚の床
*6 史蹟名勝天然紀念物保存法
*7 文化財保護法
*8 国指定文化財 データベース
*9 しんたん【深潭】の意味 国語辞典 - goo辞書
*10 20051017 石垣島・西表島・沖縄本島(4)
*11 _0019931.jpg
*12 _0019929.jpg
*13 楠山正雄 浦島太郎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?