20010607 枢
中枢、枢機卿、枢軸国、枢密院。「枢」と付く言葉がなんとなくかっこよく感じていた。旧字は「樞」なのだが、これよりも「枢」の字の方が「すう」という語感によく合っているような気がする。
「枢」とは大切な点という意味である。日本語では「くるる」のことらしい。「くるる」というのは初めて聞いた言葉だったが、「とぼそ」と「とまら」のことのようだ。
「とぼそ」も「とまら」も初めて聞くような言葉であった。これらは戸の「かまち」の部分にあるらしい。一般名詞の「かまち」も初めて知った。山田かまち$${^{*1}}$$はここからだろうか。
「かまち(框)」は戸や障子などの建具の周囲の枠のこと、「とぼそ(枢)」は戸臍(とほぞ、戸のへそ)の意味で回転式の戸の支点が入る敷居とその上の横木にあけられた穴のこと、「とまら(枢)」は「とぼそ」にはめ込むため戸に付けた出っぱりのことのようである。
「とぼそ」と「とまら」との組合わせを「くるる(枢)$${^{*2}}$$」という。これがないと戸や扉が機能しないので大切な点ということになる。
最初に挙げた言葉を英語にするとまたいい感じである。中枢は「center」だから大したことないが、枢機卿は「cardinal」、枢軸国が「Axis power」、枢密院が「Privy Council」である。特に枢軸国の「Axis power」がいい。日独伊三国同盟の「the Rome-Berlin-Tokyo Axis」という言葉の響きもわくわくさせる。こういった戦時中の造語には精神を高揚させる語感のものが多かった。名前を付ける時にはこういう効果を意識しているのであろう。
ただ、「Axis」はドイツ語では「Mittellinie (die Mittellinie Rome-Tokyo-Berlin)$${^{*3}}$$」で、イタリア語なら「Asse (l'Asse Roma-Berlino-Tokio)$${^{*4}}$$」のようだ。それぞれの国の言葉でもいい感じだ。
*1 山田かまちについて | 高崎市
*2 枢(くる)の意味や使い方 Weblio辞書
*3 Tampico auf Zeile
*4 Avvento nazismo e politica estera italiana