20011209 逆回転防止ベゼル
愛用の腕時計$${^{*1}}$$には回転式ベゼル$${^{*2}}$$がついている。ベゼルとは文字盤の周りに付いている輪のことでそこには数字が書き込まれている。定期的にこれを回転させないと硬くなって回りにくくなる。
先日、ふと気付いたのでベゼルを回した。この腕時計は潜水用なのでベゼルが左にしか回らないようになっている。潜水中、何かに当たってベゼルが回転しても目印にした時刻が前になるようになっている。こうすれば本当の潜水の経過時間よりも時計が指し示している時間の方が長くなるので空気不足による窒息の事故が防げる。回すとカチカチ音がする。逆回転しないように爪がベゼルの中に仕組まれており、それが鳴っていると思っていた。
ベゼルが少し硬かったので普段より多めに回したら、ベゼルが外れてしまった。ベゼルの内側から針金が一本出てきた。ベゼルの内側の円周に合わせて湾曲している。針金の片方は1.5mm程直角に曲げてある。時計の12時の位置に丁度この針金が入る大きさの穴が開いていた。針金のもう片方はペンチで切ったままの状態である。針金を12時の穴に入れるともう片方の先端は6時ぐらいの位置になる。
ベゼルの内側には歯車のようなギザギザが刻んである。このギザギザに針金の先端が引っ掛かる事によって逆回転を防止しているようだ。回転させるとカチカチ音が鳴るので歯車と爪とバネを組み合わせて逆回転を防止していると思っていた。そんな機構をベゼルの中にどうやって組み込んでいるのか不思議で仕方がなかった。単に針金一本入っているだけだった。簡単な機構で十分な機能を持たせる優れた設計である。
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*2 TAG HEUER AQUARACER Chronograph Quartz Accessoire 43 mm | TAG Heuer