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20030815 身の回りの放射性物質

 日常生活で利用される放射性物質はそれ程多くない。

 すぐに思い浮かぶのは夜光塗料$${^{*1}}$$である。放射性物質が入っている夜光塗料が用いられるの物と言えば、最近は腕時計ぐらいしかない。それも輸入品$${^{*2}}$$が殆どである。

 蛍光灯のグロー管に放射性物質が使われている$${^{*3}}$$らしい。これはどこの家庭にもある。もしかしたらこれが最も一般的な日常生活で使われている放射性物質かも知れない。

 使われている放射性物質は「プロメチウム147$${^{*4}}$$」という物質らしい。グロー管に使われる理由はグロー管の放電を素早くするためだ。

 そもそも蛍光灯でのグロー管の役目$${^{*5}}$$は何か。蛍光灯のスイッチを入れるとまずグロー管が紫色に光る。これがグロー管の放電である。すぐにグロー管の紫の光は点滅し、それが終わったと思ったら蛍光灯が点灯する。

 グロー管の最初の放電が始まらないと蛍光灯が点灯しない。だから放電し易くすれば、蛍光灯はそれだけ早く点く。蛍光灯のグロー管に限らず、放電にはきっかけがいる。放電現象はなだれに似ている$${^{*6}}$$と考えられている。エネルギーの高い一個の電子をきっかけにして放電が始まる。その高いエネルギーの電子はどこから来るかというと地球に降り注いでいる宇宙線$${^{*7}}$$などによって発生する。

 グロー管に宇宙線が当たるのを待つよりも自ら電子を発生させた方が早くなだれが起こる。そこで放射性物質から出る高いエネルギーの電子$${^{*8}}$$を利用すれば、素早くなだれが起こり放電が開始することになる。

 コンマ何秒の時間を節約するためだけに放射性元素を使うというのは、何かおおげさ過ぎるような気がしてならない。

*1 20021220 夜光塗料(2)
*2 ルミノックス腕時計サイト
*3 Kurashino nakano Houshasen (p.52,53) 放射瀬の利用
*4 原子番号61番 プロメチウム Pr
*5 電球豆知識(蛍光灯の点灯方式)
*6 Electron Avalanche Mechanisms
*7 研究所紹介 / やさしい解説
*8 :: 放射線の基礎知識 ::

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