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20030212 燃費計

 BMWの自動車には1リットル$${^{*1}}$$のガソリンでどれだけの距離を走っているかを表示する燃費計が付いている$${^{*2}}$$。近頃は運転手が環境保全に配慮し易いように国産の自動車にも付けられている$${^{*3}}$$。BMWは20年ぐらい前から燃費計がメーターに装備されていた$${^{*4}}$$。

 この燃費計は走行中の瞬間の燃料消費量を表す。アクセルペダルを踏み込めば燃料の噴射量が増えるのでメータが振り切れる。現在のBMWの自動車はこの瞬間的な燃費計に加え、平均的な燃費も表示されるようになっている。

 殆どの自動車は、エンジンで使うガソリンの量を電子的に制御している$${^{*5}}$$ので、その電気信号と速度とを計算してメータで表示するのは技術的に何ら難しいことはない。かつてはキャブレター$${^{*6}}$$という機械的な仕組みで燃料を制御していたので燃費計というのは簡単には出来なかった。

 国産でも20年以上前からガソリンの量を電子制御する自動車は存在したが、燃費計を付けるという発想はなかった。当時は走行中の瞬間的な燃料消費量が判っても何も嬉しくはない、という風潮があった。

 現在は、自分の運転の仕方でどれだけ燃料を消費するかを知ることによって少しでも環境に配慮した運転を心がけることが出来る、という価値が認知されてきたのだろう。「燃費計は意味無し」と考える人は少なくなってきている。

 BMWの瞬間燃費計$${^{*7}}$$は針が右に振れるほど燃料を多く消費していることを示すようになっている。従って一般に燃費といえば「ガソリン1リットルで何キロ走るか$${^{*8}}$$」なので、目盛りは左から右へ数値が小さくなっている。目盛りの単位は「km/L」である。計器は大抵、右回り$${^{*9}}$$なので、これは違和感がある。針が右に振れるほど燃費が良くなることを示すようになっていれば、数字も右に行けば大きくなるので、普通に考えればこちらの方が見やすい。

 運転していると加速時には燃費計の針が右にぐっと振れる。そして定速走行になれば燃料の消費量が少なくなるので針は左に傾いてくる。ところがどんどん速度が落ちてくれば燃料を使っている割には走る距離が短くなるので再び針は右に傾きだす。

 自動車を停止させると針はどうなるか。自動車は止まってもエンジンは動いたままなので燃費は「0km/L」である。本来ならば針が右に振り切った状態にならなければならないが、針は一番左になっている。燃費が最も良い状態と最も悪い状態とが同じ表示になっているのである。

 アクセルペダルを踏み込んだ時は、燃費計の針は右に傾き、自動車が停止した状態でも針が右に傾いているとなるとやはり違和感が出るのだろう。それにしても何故、右に傾くほど燃費が悪くなるような目盛りにしたのだろうか。逆に針が右に傾くほど燃費が良くなるようにすれば、目盛りの数字も左から右に大きくなるし、停止した時とアクセルペダルを踏み込んだ時との燃費の関係がうまく合う。

 この逆目盛りの理由は、ヨーロッパでは燃費の表示が「100km走るには何リットル必要か」だからである。単位は「L/100km」となる。従って燃費が悪くなるとこの数値は増える。日本式とは逆である。アクセルペダルを踏み込めば燃費が悪くなるので針が右に振れて目盛りも増える。だから違和感はでない。燃費計自体はヨーロッパ式で作られているので、日本仕様では目盛りだけを「km/L」にしているから数値の並びが逆になる。

 当然、ヨーロッパ式でも目盛りが違うだけだから自動車が停止している時は針は左である。理屈では加速時もエンジンを動かしたままの停止時も「燃費が悪い」状態であるが、感覚としてはアクセルを踏んだ時の方が燃費が非常に悪い気がしてしまう。こういった感覚を優先させたのだろう。それに「速度0km/h」の時に「燃費が最悪」という表示をさせるのは電子回路的に面倒臭そうである。

*1 20001007 デシリットル
*2 BMW Japan 装備内容
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*4 BMW Japan E-635 主要諸元
*5 ガソリンエンジン制御システム
*6 キャブレターとは?仕組みと構造を解説!セッティング調整や洗浄・オーバーホールも | MOBY [モビー]
*7 MOTORMAGAZINE MEDIALOG TOP NEW MODEL EXPRESS BMW 318i Touring more photos2
*8 自動車の燃料消費率に関する公表(2003年分)
*9 20000328 時計の針

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