20000513 三喜羅
名物に旨いもの無しといわれるが、これはその土地の味覚に馴染んでいない人がそこの名物を食べてもそれ程旨く思わないからだろう。自らもよく経験することである。
自分が旨いと思っているものを人に食べさせて、感想を聞くとそれ程でもないと言われると「何故こんな旨いものが判らないのだろう。味覚は確かなのだろうか」と思いたくなることもある。まぁ、お互いそう思っているのだろうからどうしようもない。
好きな菓子$${^{*1}}$$でこんなもの$${^{*2}}$$がある。これを不味いという人がいるのだろうか。そう思いたくなるような饅頭である。
その饅頭の名前は「餡麩三喜羅(あんぷさんきら)$${^{*3}}$$」。写真で見ると柏餅$${^{*4}}$$のような形態だが、使われている葉っぱは柏の葉ではなく山帰来$${^{*5}}$$サルトリイバラ$${^{*6}}$$の葉である。また餅ではなく、しっとりとした麩$${^{*7}}$$の中にこし餡$${^{*8}}$$が入っている。山帰来の葉の香り、麩の柔らかさ、程よい甘さの餡が相俟って絶妙な味を創り出している。
これを旨くないと言う人が本当にいるのだろうか。名物だけど旨い、はずだ。
*1 全国名菓探訪
*2 餡麩三喜羅
*3 菓子処 大口屋
*4 2 柏餅の柏の葉 お膳になる葉っぱ
*5 サルトリイバラ
*6 サルトリイバラ
*7 金沢加賀麩不室
*8 こしあん