20060302 古代のコンピュータ
幼少の頃に読んだ世界の不思議や謎を扱った本には「古代のコンピュータ$${^{*1}}$$」というのが大抵載っていた。つい最近、これは「アンティキシラの機械$${^{*2}}$$」と呼ばれていることを知った。
私が幼少の頃はコンピュータと言えば、大型コンピュータ$${^{*3}}$$であった。これとアンティキシラとでは似ても似つかない。どうしてこんな歯車みたいのをコンピュータと言うのかさっぱり判らなかった。
コンピュータというのは電子計算機だけを指すのではなく、本来の言葉の意味からすれば単なる「計算機」でもある。アンティキシラのコンピュータには真ん中に丸い歯車$${^{*4}}$$のようなものがあるので、コンピュータ本来の意味を知ってからは、円形計算尺$${^{*5}}$$みたいなものを想像していた。
天体の動きを計算する機械$${^{*6}}$$らしい。天球上での太陽と月の動きとが判る$${^{*7}}$$ようになっている。二千年前に既に歯車があったというのも凄いが、それで月や太陽の動きを正確に計算することができたと言うのも凄い。
ところがこの機械には「ねじ$${^{*8}}$$」が使われていないらしい。くさびとピンとで留められていると言う。「ねじとねじ回し$${^{*9}}$$」という本に書いてあった。歯車はあるのにねじがない。これは異様に思えたが、少し考えてみれば納得できる。車輪を思い付けば$${^{*10}}$$、ある車輪から他の車輪へ動きを伝える仕組みは容易に発想できそうだ。車輪に凹みを付けてそこに指を入れて回せば車輪は簡単に回る。指の代わりにもう一つの車輪に棒を取り付け凹みと咬み合わせれば歯車が出来上がる。簡単だ。
一方、締結用のねじはなかなか思いつけない。何かに棒を差して固定することは思い付くが、その棒に螺旋状の溝を作って捻り込んで強固に固定するという発想は難しい。身の回りの自然にはそういった仕掛けの物が見あたらないからである。
そんなねじの出現は歯車よりもかなり遅く、五百年ぐらい前$${^{*11}}$$と考えられているらしい。
*1 Antikythera Mechanism Thumbnails An Ancient Greek Computer p.61
*2 How did a 'Antikythera Machine' work?
*3 8-1.jpg
*4 Antikythera Mechanism
*5 製品情報:一般用計算尺<
*6 Ancient Clocks
*7 The Antikythera Mechanism I antikythera-animation
*8 松岡正剛の千夜千冊『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ
*9 ねじとねじ回し──この千年で最高の発明をめぐる物語
*10 道具の発明発見の歴史
*11 ねじの歴史
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