見出し画像

20021022 きの神

 「$${^{*1}}$$」にもう一つ興味深いことが載っていた。

 山梨に山梨岡神社$${^{*2}}$$という神社$${^{*3}}$$があるそうだ。県名が付いた神社$${^{*4}}$$というのはありそうでない。山梨$${^{*5}}$$という県名は和名抄$${^{*6}}$$に出てくる山梨郡$${^{*7}}$$山梨郷が起源らしい。その山梨郡にある山梨の岡$${^{*8}}$$にある神社だから「山梨岡神社」なのだろう。だから県名が付いた神社ではなく、神社の名前の由来と県名の由来とが同じなのである。

 この神社には変わった神が祀られているらしい。「きの神$${^{*9}}$$」と呼ばれる神で、姿は、顔が牛か獅子舞の獅子のようで足が一本しかない。毎年一度だけこの「きの神」の木像が公開されるという。一説には狛犬$${^{*10}}$$の胴体が欠け落ちた像ではないか、と言う説もあるようだ。写真を見るとそんな感じもしないでもない。最初に「欠け落ちた木像」があって、そのあとに信仰が出来上がったのかも知れない。

 「き」の漢字は非常に複雑$${^{*9}}$$である。もともと中国の伝説上の動物の名前で一本足の怪物で人間の顔に似た龍とも言われているらしい。漢字は象形で人の顔で、角があって、大きな耳を持ち、一本足をかたどったようだ。字の形は統一されていなくて真ん中の「自」の下が「儿」になっていたり「ハ」になっていたり、くさかんむりだったり「首」の上の部分が伸びた形だったりする。「象形」なので何となくそれらしく見えて形さえ整っていればいいのであろう。

 この怪物を表すのためだけに存在する文字があるというのは非常に興味深い。漢字というのは奥が深い$${^{*11}}$$。

*1 20021021 怪異・妖怪伝承データベース
*2 山梨岡神社
*3 20001115 社格
*4 全国延喜式神名帳
*5 山梨県Webサイト
*6 goo [国語辞典]: 倭名類聚鈔
*7 和名抄郡名一覧(東海道)
*8 すがお(春日居町)
*9 山梨妖怪旅行1日目
*10 狛犬について私が知っている2、3の事柄
*11 19990804 諸橋大漢和

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?