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20051207 火事
小学生の頃、近所で火事があった。今まで火事やその焼け跡は何度も見たことがある。この時は同級生の家の隣が火事になった。火事と言っても普通の火事ではなく、プロパンガスの爆発だったようだ。爆発したのは夜中で、その爆風によって同級生の家のガラス窓は粉々になり、そのガラスの破片が寝ている顔に降ってきたらしい。幸い破片が目や口に入って怪我をすることはなかったという。こんな状態で手で目などを擦ったら大変なことになるところだった。
爆発した隣の家には若夫婦が住んでいた。私は同級生の家に何度か遊びに行ったことがある。その時にその家の奥さんの顔を見かけた記憶がある。結構美人で、つのだじろうがよく描く女性$${^{*1}}$$に似ていた。件の同級生は確か「おねえさん」と呼んでいた。
その奥さんは丸焦げの焼死体で見つかったらしい。同級生はその変わり果てた姿を見たと言っていた。四つん這い状態で仰向けになっていて、手は空中で何かを掴むような形で上げていたと言う。
以上は数十年前の記憶なので、かなり修正が加わっているだろう。焼死体の形態の記憶も戦場写真に出てくる映像とすり替わっている可能性が十分ある。ただ、はっきりしているのは生前の「おねえさん」の顔だ。ある日、その同級生との学校からの帰り道で犬の散歩をしている火事で焼け焦げになる前の彼女に出会ったことを思い出した。無地のスカートにタータンチェック$${^{*2}}$$のシャツを着ていた。いや、これも後で勝手に作り上げた記憶かも知れない。
その同級生は、その後引っ越してしまい、現在どこに住んでいて何をしているのか全く判らない。
*1 ハズレ
*2 MacArthur Tartans