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20040127 新しい漢字(2)

 今まで中国や日本などで文字改革$${^{*1}}$$がなされてきた。漢字など文字の形で意味を表す表意文字は文化の発達に従い、文字体系が複雑になる一方である。もともとは「水」や「木」など、物事を表す「絵」が文字に変化したもの$${^{*2}}$$ばかりだったのが、それらを組み合わせて新しく漢字が作られていった。ある程度文字が増えると、本来は意思伝達の道具であったはずの文字の機能が衰えてくる。複雑になりすぎると特定の相手にしか文字が通じなくなる。

 文字は時間や地域を越えての意思伝達を容易にすることができるので、国家や支配者はできるだけそれを管理をしたり有効活用していこうと考えるだろう。そういった考えかどうかは調べてみないとよく判らないが、清の康煕帝は康煕字典$${^{*3}}$$を作った。康煕字典の成立以降、中国では漢字が新しく追加されることは少なくなったのではないだろうか。康煕字典ができたのは1716年だから、漢字が出現してから$${^{*4}}$$三千年ぐらい経過しているので当時既に新しい漢字の出現は殆どなかったのかも知れない。

 文字改革というのは、複雑になり増え過ぎた文字を簡単にする、文字数を減らすという作業になる。

 これは手で文字を書くという作業が大前提である。文字の画数や文字の種類が増えれば手で様々な文字を一々書くのが面倒になる。

 ところが現代はワードプロセッサーが発明され、漢字を書くのが大変であるということがなくなった。文字を選択するという作業が残っているが、これは文字を手で書くより相当楽である。これによって常用漢字$${^{*5}}$$など漢字制限は特に意味を持たなくなる。漢字を読む側にしても自動的に振り仮名が出るようにすれば全く問題はない。

 そうなると「體」から「体」のような簡略化$${^{*6}}$$、もしくは「歐」から「欧」のようなモニタ表示の都合からの簡略化ではない、ワードプロセッサー専用の新しい漢字$${^{*7}}$$が出現してもよさそうである。

*1 技術と日本語ものがたり アジア漢字圏の文字改革
*2 20000422 象
*3 Welcome to tabiken's Site! 康煕字典
*4 mediacom伊藤陽一研究会 文字の発生・使用
*5 役立つ知識 常用漢字とは
*6 漢字基本用語集 新字体(しんじたい)
*7 19991101 新しい漢字

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