19991120 臨界師
友人とこんな話をした。その友人は今の仕事を辞めて学生時代に専攻した原子核工学$${^{*1}}$$の知識を使って職人になりたいと言うのだ。それならば「臨界師」というのはどうだ、と言う話になった。
「臨界師」というのは濃縮ウランの転換作業を小さなステンレスバケツを使って短時間にこなす業師$${^{*2}}$$である。将来的には電力の配送の損失を減らす為に各家庭に小型原子炉を備えた発電器が設置されることになるだろう。燃料は当然放射性元素。しかし発電機が原爆にならないように濃度をうまく調整しなければならない。一般人にはとても危険な作業であるので「臨界師」なる専門家が必要となるだろう。
夕方になるとどこからともなく「りんか~い、りんか~い。ウラン、プルトニウムの転換作業はいらんかぇ~」と言う臨界師の声が聞こえ、夏の風物詩となるかもしれない。
*1 名古屋大学 原子核工学専攻 & 量子エネルギー工学コース
*2 19991001 臨界