見出し画像

20061102 笠寺とcathedral

 名古屋にある笠寺観音$${^{*1}}$$の「かさでら」は、英単語の「cathedral大聖堂」と何らかの関係があるのではないかと昔から思っていた。

 cathedralの基は「cathedra$${^{*2}}$$カシードラ」だから更に近い。

 cathedraは司教座とか権威の座という意味らしいから、笠寺観音の本尊が誰かが座った椅子$${^{*3}}$$に関係していると面白いが、実際はどうだろう。

 笠寺の縁起$${^{*4}}$$を調べると、こんなことが書いてあった。笠寺の元となった寺$${^{*5}}$$を建立した上人が入滅した後、寺は荒れ果てたが、本尊の観音像だけは朽ちなかったと言う。ある貧しい女が憐れんでその観音像に笠をかぶせてやったら玉の輿に乗る御利益を受けた、というのが笠寺の由来らしい。

 笠が由来だから椅子とは関係がない。cathedraはギリシャ語の「kathedra$${^{*6}}$$」が由来になっているようだ。「kata」は「下へ」、「hedra」は「椅子」という意味である。この言葉がインドぐらい迄繋がっていると、「かさでら」と「kathedra」とが関係が出てくるかもしれないが、「kata」も「hedra」もギリシャ語の基本単語だとするとまず関係はないだろう。

 かって寺田寅彦が言った$${^{*7}}$$、全く違う言語間でよく似た発音と意味とを持つ単語がある確率で出現する現象$${^{*8}}$$の一例だろう。

*1 名古屋市:笠覆寺(笠寺観音)(南区)
*2 cathedraの意味 英和辞典 - goo辞書
*3 charlie.jpg
*4 愛知県の歴史 (2)中世 尾張・三河の中世仏教
*5 愛知県の歴史 (2)中世 尾張・三河の中世仏教
*6 Online Etymology Dictionary
*7 寺田寅彦 比較言語学における統計的研究法の可能性について
*8 20051119 燕

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?