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20040810 鍛冶橋

 高山の鍛冶橋$${^{*1}}$$近くの交差点の角に大きな看板を出しているラーメン屋がある。

 私はラーメンが大好きなのでいろんなラーメンを食べたいと常に思っている。美味しいラーメンはもちろんのこと、物凄く不味いラーメンを出す店も興味がある$${^{*2}}$$。こんな不味い物を出してよく店が成り立っているものだと感心したいのだ。中途半端はだめだ。「まぁまぁだなぁ」と思った時は何か時間を損したような気がしてくる。「まぁまぁ」のラーメンを食べたこと自体は食欲を満たすという点で問題がないのだが、その店までわざわざ出向いたのに大して感動が得られないというのは辛い。不味いか美味いかどちらでもよいので、心を打たれたいのである。

 いろいろ都合があってそのラーメン屋に入ることができなかった。しかしもしそこでラーメンを食べれば、何か感動できそうな予感がした。

 看板には大きく屋号に「鍛橋」と書いてあった。「鍛橋」ではなく「鍛橋」である。「にすい」ではなく「さんずい」なのである。看板のすぐ横には交差点の看板にちゃんと「鍛橋」とにすいになっている。

 自分の店の屋号の漢字を間違えるようなふつつか者なのだろうか。看板屋が間違えたのをそのままにしただけだろうか。それとも「かじ」の「じ」が「にすい」なのはおかしい、「さんずい」の「治」に決まっている、といった訳の分からぬ頑固者なのだろうか。わざと間違えて人の目を引こうとしたのだろうか。

 鍛冶(かじ)は熟字訓$${^{*3}}$$である。大和や武蔵と同じで熟語となった状態でひとかたまりでその読みが適用される。大が「やま」で和が「と」ではない。「大和」で「やまと」である。鍛冶も鍛が「か」で冶が「じ」ではない。どちらも単独ではそれぞれ「か」「じ」と読めない。鍛冶を音読みすれば「たんや」$${^{*4}}$$である。

 何れにしても看板を大きく出すのは味に自信がない証拠なので、「不味さ」には大いに期待できる。

*1 高山旅日記 「 宮川 」
*2 20001020 不味いラーメン屋
*3 20030319 治具
*4 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: 鍛冶

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