20030512 八ツ橋(2)
先日、京都の銘菓「八ツ橋$${^{*1}}$$」の名前の由来について書いた。「八ツ橋」の由来は八橋検校の名前からとされているが、人名が直接、食べ物の名前になり得るのだろうか。
読者の方から八ツ橋のいわれ$${^{*2}}$$が書かれたページを教えて頂いた。このページの存在を完全に見落としていた。八ツ橋の話は一年以上前に着想したのだが、なかなか記事に出来なかった。思い出しては八ツ橋について調べていたが、このページをブックマーク$${^{*3}}$$に入れられなかった。
菓子の名前の「八ツ橋」と三河知立の「八橋」$${^{*4}}$$との関係は明確には書かれていない。菓子の名前の「八ツ橋」は八橋検校が由来であって、八橋検校の名前の「八橋」と三河の「八橋」とは偶然の一致、と書いてある。
不思議なのは菓子の包装や箱に描かれている絵である。箱には名前の由来となった八橋検校の姿ではなくカキツバタと八橋の絵$${^{*5}}$$が描いてある。更に八ツ橋を製造する店の本店には服部峻昇$${^{*6}}$$作の「かきつばた図」が掲げられている$${^{*2}}$$らしい。
それにしても、何故、菓子とは本来関わりがないはずの三河八橋の絵柄が箱に描かれているのだろう。件のページには八橋と言えば在原業平とカキツバタを連想する人を尊重して包装紙の絵柄としたと説明している。本来の由来よりも客の勘違いを優先させ、包装紙の絵柄にまでそれを用いる。
人名が由来の食べ物でも広く知られることになった原因はこれだろう。本当の由来はどうであれ、客があっての商売、という見本である。恐らく八橋検校が包装紙に描かれていたらこの菓子は今ほど売れなかっただろう。
*1 20030408 八ツ橋
*2 聖護院八ツ橋総本店おいたち
*3 20021119 栞(4)
*4 三河八橋の伊勢物語旧跡案内
*5 聖護院八ツ橋
*6 服部峻昇(Shunshoh Hattori)