見出し画像

20091002 利息を払い過ぎた人と法律事務所

 電車内の広告を見ていたら「借金の返済でお困りの方はご相談ください」というのがあった。最近はこう言った類いの広告が多い様な気がする。多重債務$${^{*1}}$$に苦しむ方へとか利息を多く払い過ぎている人へとか、テレビジョン放送の宣伝でも見られる。

 件の広告では次の項目に当てはまるような人は是非相談に来いとある。その中に「既に完済$${^{*2}}$$してしまった人」があった。借金を完全に返済し終わっている人に何の用事があるのだろう。

 なんと払い過ぎた利息を取り戻せる$${^{*3}}$$というのだ。不当行為なのだから当り前と言えば当り前だ。債務者から不当に金利を得ていた業者に訴えを起こし、払い過ぎの分を取り返すというのは、社会正義にもつながる気がする。だが考えてみるとどうもしっくりこない。借金を払い終わっている人に「あなた、払い過ぎていましたよ。その分取り返しましょう」というのはお節介だろう。不当に利益を得ている金融業者がいるので、彼らを懲らしめると言う意味も確かにあるかもしれないが、取り返すのを親切心だけでやるのではない。当然、手数料を取るのである。それを商売にしているのだ。

 ある商店街がその地域に蔓延る暴力団へのみかじめ料$${^{*4}}$$でかなり苦しんでいるとする。勢力範囲を広げたい別の暴力団が、その商店街に今まで払ってきたみかじめ料を全部回収してきてやるから手数料を出せ、と言うのと何となく構図が似ている。利息払い過ぎ取り返しの方は、押し掛けるのではなく、広告で法律事務所に呼び込み、納得づくで手数料を取るので全く問題がない。が、どうも人の弱みにつけ込んでいるような気がしてならない。

 便利屋$${^{*5}}$$と言う商売がある。例えば病気で寝込んでいて他に頼む人がいないので、便利屋を使って買い物か何かをしてもらうとする。便利屋はその病気で寝込んでいる人から手数料を取って頼まれた物を買いに行く。これも同じような構図の商売だが、特に人の弱みにつけ込むと言う印象は全くない。一方、債務整理$${^{*6}}$$や利息の取り戻しになると途端に「金に困っている人から更に金を取る」という印象に変わってしまう。いくらか金が掛かっても現状よりも事態を軽くするのだから、債務者にとっては良いことである。にもかかわらず無責任な傍から見るとそうなってしまう。私のそんな見方は全く間違っているが、私以外でも同じ様に感じている人がいるのではないか。

 まぁ、利息を払い過ぎた人と法律事務所との話なので、どうでもよい。

*1 多重債務者対策本部
*2 【レポート】複数のローンを一本化! 今話題のおまとめローン「バンクベスト」&「バンクアシスト」 | ライフ | マイコミジャーナル
*3 あなたにも払い過ぎたお金が戻ってくる?[マネー]All About
*4 みかじめ料 - 語源由来辞典
*5 全国の便利屋さん検索サイト・便利屋さんナビ
*6 いますぐ債務整理相談所

いいなと思ったら応援しよう!