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20040119 確率(5)

 更に三つの箱の抽選大会$${^{*1}}$$の続き。三つの箱のどれかに景品が入っている。挑戦者はどれかの一つ箱を選ぶ。次に司会者は残りの二つの箱の内、どちらかを開けてその箱が外れであったことを示す。そこで挑戦者には再度箱を選ぶ権利が与えられる。この時、選び直した方がいいか、最初のままがいいか、どちらでも結果は変わらないか。

 直観的には選び直してもそのままでも当たる確率は半々であると結論付けてしまうが、本当は違う。選び直した方が当たりやすくなるのである。その理由を昨日の記事では長々と説明した$${^{*1}}$$が、非常に判りづらい。

 もっと簡単にすんなり理解できる説明がある。挑戦者が箱を選んだ後、司会者は残りの箱のどちらかを見せてくれる。司会者が残りのどちらかの箱を開ける行為は、挑戦者からすればその中身を確認できることだから、挑戦者自身が選んで開けるのと同じ事と見なせる。つまり挑戦者が箱を選び直せば、あらかじめ二つの箱を選んだことになる。選び直さずそのままなら一つの箱を選んだだけなのだ。三つの箱の内、二つの箱を選んでどちらも開けられた方が当て易いのは明らかである。

 もっと箱の数を増やせば判りやすい。100個の箱があり、その中の一つに当たりが入っているとする。挑戦者が一つの箱を選んだ後、司会者は残りの99個の箱の内、1個だけを残して全部箱を開けてしまう。自分が選んだ箱か残りの箱かのどちらかに当たりが入っているのだから当たる確率は半々に思えてしまうが、上の説明のようにあらかじめ99個の箱を選んで98個箱を開いた状態と考えれば、断然残りの一個に当たりが入っている可能性が高い。

 箱が三つの場合、挑戦者が箱を選び直せば2/3、そのままなら1/3の確率で当てることが出来ることが判った。しかしそれが判ったとして何の意味があるのだろうか。この場合、どちらを選んでもそれなりに当たるのである。箱が10000個ぐらいあれば、圧倒的に選び直した方がいいに決まっている。ところがそんな条件の抽選会を実施する人が現れる確率は殆どないといえるだろう。

 自分の子供相手にトランプでこの抽選大会を再現してみた。トランプ三枚では何度もやってみないと差が出てこないので、16枚でやってみた。16枚のうち1枚をばば$${^{*2}}$$にした。ばばが当たりである。裏返しにして並べて、子供に一枚選ばせる。残りの15枚のうち1枚残して表に向けた。丁度、子供が選んだのがばばだったので残った1枚は外れだった。そこで子供に選び直せるということを告げた。そのままでいいという。そのままで当たりを引いた。

 今度は子供にトランプを並べさせて、私が一枚選んだ。同じように残りの15枚のうち1枚残して表に向けた。自分は選び直した方が15倍も当たりやすいことを知っているので残った1枚の方をめくってみた。外れていた。最初に選んだトランプがまたしても当たっていたのである。

 やはり小口の人にとって細かい確率計算は殆ど意味を成さない$${^{*3}}$$。

*1 20040118 確率(4)
*2 Joker (Batman 1966 TV Series) | DC Database | Fandom
*3 20040117 確率(3)

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