20051221 食券
今年の秋に瓢箪の町「養老町$${^{*1}}$$」へ行った時のことである。養老の滝$${^{*2}}$$の滝口にある食堂で昼を食べた。
滝口には駐車場や食堂、土産物屋それからロープウェイの駅$${^{*3}}$$もある。ロープウェイと言っても一人乗りのリフト$${^{*4}}$$だ。この辺りは三十年以上時間が止まっているような雰囲気を醸し出している。それがまた遺構好き$${^{*5}}$$の私としては大変嬉しい。
食堂もこんな感じ$${^{*6}}$$なのである。1970年代$${^{*7}}$$から変わっていないような気がする。食券を先に買って店に入る。「食券」という言葉は何か戦時中の言葉みたいだと書いていた人がいた。変わっていない気がする1970年だから戦時中からはほど遠いが、そのようなことを書いた人はこんな食堂を思い浮かべているのかも知れない。
実はこの食堂の食券は本格的なのである。1970年の雰囲気はこの食堂の食券が原因かも知れない。最近の食券は自動販売機$${^{*8}}$$を使って売りさばかれるので食券自体が長いリボン状に巻かれて機械に収まっていることが多い。一枚一枚切りながら発券される。券の紙質は切りやすくするために薄い紙が用いられる。鉄道の切符で言えば、これを「軟券$${^{*9}}$$」と呼んでいる。
ここの食券は軟券ではなく硬い紙でできた「硬券」なのである。しかも乗車券箱が使われている$${^{*10}}$$。「乗車券箱」とは硬券を販売する時に駅員が切符を一枚づつ取り出しやすいように工夫された箱$${^{*11}}$$のことで、切符の自動販売機がない頃はもっぱらこれが使われていた。自動販売機が普及した現在、駅ではこの乗車券箱を見ることが殆どなくなった。
客がたいして来ないので食券の販売を自動化する理由は全くない。必然的に「乗車券箱」が存続しているのだが、店主にもこだわりがあるような気がする。
*1 20050927 ひょうたん(5)
*2 養老公園
*3 養老ロープウェイ
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*5 遺構探訪
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*7 Gallery
*8 食券 利用券 自動販売機 中古もリースも
*9 Web東奥・特集/並行在来線問題 20021106
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*11 【鉄道部品系】 日本の優れた技術 乗車券箱の話 - 旅と鉄道の美学 鉄道博物館 展示資料紹介 [紀州鉄道で使用されていた回転式の乗車券箱]