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20000630 1+1

 1+1は何故2なのか。1ヶの石ころと1ヶの石ころを合わせれば石ころは2ヶになる。見れば判る。しかし1000+1000が2000になるのは見れば判るという程度の数ではない。

 そこで数学では1+1=2であることを集合論$${^{*1}}$$や数学的帰納法$${^{*2}}$$を駆使して証明している。そして1000+1000=2000であることも厳密に証明されている。

 しかしこれは数学という学問の中で保証された論理である。人間の思惟の中で繰り広げられている世界の話である。実際に1ヶの石ころとヶの石ころを合わせると2ヶになることと1+1が2になることが同じであると理解もしくは実証されなければ、実際の「算術」として数学を応用させることはできない。

 数える個数が少なければ色々足し合わせて実際に数えてみれば、成る程、「足し算」というのは現実とよくあっていることが判る。例えば2+3=7が数学の世界で矛盾なく成り立っているとすると、実際とはかけ離れていることがすぐ判るので足し算は実用にならないことになる。

 それでは1兆+1兆が2兆ではなく「2兆5千」になるということが数学的に矛盾がないと判ったらどうなるだろう。実生活ではその様な大きな数は扱わないので全く問題は起きないだろう。数が大き過ぎるので確認しようがない。円周率の100万桁目の数字$${^{*3}}$$が「1」だろうと「2」だろうと誰も困る人はいないのと同じである。

 逆に「1兆+1兆=2兆5千ではない」という保証はない。数学的には保証されているが、現実の世界でこれを証明するには実際に数えるしかない。

 そう考えていたら、もしかして自分の預金口座に1000円入金したら、知らぬ間に残高が2000円増えていたということが起こるかもしれないと思えてきた。多分、預金残高が国債残高$${^{*4}}$$ぐらいあれば起こるかもしれない。
 我が家の場合、何もしていないのに自然に残高がどんどん減っているのが現実である。

*1 現代数学における問題と困難
*2 What is Axiomatic Set Theory?
*3 20000108 πの彼方
*4 国 債 及 び 借 入 金 現 在 高(平成11年9月末現在)

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