20010917 キップの装置
確か小学館の万有百科事典だったと思う。ページをパラパラ見ていたら「キップの装置$${^{*1}}$$」の図に目が留まった。それ以来「キップの装置」とその名前が頭の中に刻み込まれた。
名前が印象に残っているのは、単純に「キップ」が日本語の「切符」を連想させるからである。装置の形からは切符を連想させるもの部分は全くない。ただその名前が「キップ」だから。
キップの装置の実物を見たこともないし使用したこともない。実験室などで化学反応によって気体を発生させる時に断続的に必要な量を発生させることができる化学実験装置である。形がビーカーやフラスコに比べて複雑であること、装置の真ん中の部分に固体の薬品を入れて上から液体の薬品を注ぎ込むという一見どう言う仕組みになっているのか判らないこと、形がサイフォン式のコーヒーメーカ$${^{*2}}$$に似ていることなどが目に留まった理由だ。
仕組みはこのページ$${^{*3}}$$を見て貰うとよく判る。液体の薬品を入れると固体の薬品の所まで浸って化学反応が起こって気体が発生する。ここまではキップの装置を使わなくても、フラスコか何かに固体の薬品を入れて液体の薬品を注ぎ込めばよい。しかしこの方法では反応を止めることが出来ない。キップの装置ではコックを閉めれば反応が止まる。コックを閉めると器具の中の反応で発生した気体により内圧が上がり液体が押しやられ、固体と反応しなくなる。丁度、水蒸気によってお湯が上がっていくサイフォン式のコーヒーメーカと似ている。
仕組みに無理がなく、よく考えてある装置である。キップという人$${^{*4}}$$が考えたらしい。
*1 Kipp's Apparatus - Noyes
*2 サイフォン – HARIO NETSHOP
*3 Kipp Generator for Gases
*4 Kipp & Zonen - 170 Years Old!
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