20010111 電界電子放出型サージ吸収素子
電気に関する法則でオームの法則$${^{*1}}$$がある。電流を流すとそれに比例した電圧が発生するという法則である。式で書けば(電圧)=(抵抗)×(電流)となる。通常、比例定数である(抵抗)の値は流れる電流によってあまり変化しない。
ところが先日書いたタングステンランプ$${^{*2}}$$は電流が流れると電気抵抗が増加してしまう。だからスピーカーの入力保護になっている。通常の音声信号の電流が小さいときはランプフィラメントの抵抗が低いので電流が流れやすくなっているので、スピーカーの音が鳴る部分に適正な電流が流れて音が鳴る。大きな音声信号電流が流れようとするとタングステンランプの抵抗が増えていくので電流が流れにくくなり、スピーカーの音が鳴る部分が余分に動いて損傷してしまうのを防止している。
逆に電圧が小さいと抵抗が高くて、電圧が高くなると抵抗が下がってくるものがある。一方、タングステンランプの場合は、電圧が小さければ電流は少ししか流れないので抵抗は低く、電圧が高くなると電流が流れにくくなるので抵抗が高くなっていることになる。
この電界電子放出型サージ吸収素子$${^{*3}}$$は素子にかかっている電圧が小さいときは素子には殆ど電流が流れない。つまり抵抗がものすごく高い状態になっている。非常に極薄い気体中での放電現象を利用している。素子にかかっている電圧が低いときは気体の放電が起こらないので電流は流れない。しかし高い電圧がかかって放電が始まると電流が流れ出す。従って抵抗が下がってくる。
落雷などで外部から高い電圧が侵入してきて電子回路を破壊するのを防止するにはこの素子が使える。高い電圧が侵入したときだけこの素子を通して電流が流れるので、他の電子回路には高い電圧がかからないように出来る。このような働きを持つ電子回路素子$${^{*4}}$$は放電管方式の他に半導体方式$${^{*5}}$$のものがある。
*1 19991029 オームとモー
*2 20010110 電球とスピーカー
*3 電界電子放出型サージ吸収素子及びその製造方法
*4 EMC のための設計テクニック ―― Part 3: フィルタとサージ防護素子
*5 20000925 スター
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