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20090521 チェレンコフ放射
物体が空気中を超音速で飛翔すると衝撃波が発生する$${^{*1}}$$。音ではなく光の場合でも、似たような現象が起こると言う説明がある。その現象はチェレンコフ効果と呼ばれている。チェレンコフ$${^{*2}}$$と言う旧ソ連の物理学者が発見した。荷電粒子が物質内を光速を超えて透過すると光が放射される現象$${^{*3}}$$を言う。通常、光の速度を超えて移動することはできないが、空気や水中、ガラスの中では光の速度は、真空中のそれよりも遅くなる$${^{*4}}$$ので、高速な粒子が光の速度を超過する場合が出てくる。そうなるとチェレンコフ効果$${^{*5}}$$が発現する。チェレンコフ効果の応用例として2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴博士$${^{*6}}$$ゆかりのカミオカンデ$${^{*7}}$$、スーパーカミオカンデ$${^{*8}}$$がある。ここでは宇宙から飛来してきた高速粒子によって水中で散乱された荷電粒子が発するチェレンコフ光を検出している$${^{*9}}$$。
そう言えば、かなり昔にこの施設を見に行ったことがある。建設中のスーパーカミオカンデ$${^{*10}}$$だった。夏休みの子供向け行事$${^{*11}}$$で、見学者は結構いた。地底人もいた$${^{*12}}$$。地下にある建設中の施設にはトロッコ$${^{*13}}$$に乗って行った。通常は別の坑道を自動車で行くらしい。この時、一緒の車両に恋人同士と思われる男女二人組が乗っていた。その彼氏が彼女に向かって「チェレンコフ光を見るんだ」と息巻いていたのを思い出した。まぁ、チェレンコフ光は肉眼では原子炉でないと見られないだろう$${^{*14}}$$し、そもそも見学できるのは建設中の施設であるから見える筈がない。
このチェレンコフ光が発生する原理を空気などの衝撃波からの類推を使って説明しているページ$${^{*15}}$$がある。例のごとく$${^{*16}}$$、ここ$${^{*17}}$$にもそう書いてある。
チェレンコフ光はいわば、超光速で媒質中を通過する粒子においてけぼり$${^{*18}}$$をくらった光の波面のしわ寄せでできる$${^{*19}}$$と考えていいだろう。空気中を超音速で飛ぶ飛行機によって引き起こされる衝撃波は、音波のしわ寄せ ではない。媒質である空気分子そのものが飛行機に押し退けられて発生する。一方、光は空間を伝わるに媒質を必要としない$${^{*20}}$$。全然違うのではないか。
*1 20090520 衝撃波(2)
*2 Pavel A. Cherenkov - Biography
*3 チェレンコフ効果
*4 20090426 超光速のつけ
*5 Einstein velocity addition
*6 20021010 ノーベル賞(2)
*7 小柴東大名誉教授ノーベル賞受賞
*8 20000709 スーパーカミオカンデ
*9 水中チェレンコフ光イメージ検出器
*10 superkamiokande.jpg
*11 GEO-SPACE.jpg
*12 underground_man.jpg
*13 lorry.jpg
*14 TEPCO : 福島第一原子力発電所 | 3号機の定期検査現場マスコミ公開
*15 BTeV Ring Imaging Cerenkov Counter (RICH)
*16 20060501 ウィキペディア(2)
*17 チェレンコフ放射 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
*18 田中貢太郎 おいてけ堀
*19 チェレンコフ放射
*20 光のはなし 光速度の測定,マイケルソン-モーリーの実験