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20090619 ヘイケガニ
ヨツコブツノゼミがあのような変わった角を生やしている$${^{*1}}$$のは、人間に珍しがられて保護してもらうため、と勝手に考えた$${^{*2}}$$。そう言えば、ヘイケガニ$${^{*3}}$$で似た様な話があることを思い出した。
この蟹の甲羅には武者の怒った顔の様な模様があるため、壇ノ浦$${^{*4}}$$の戦いで敗れた平氏$${^{*5}}$$に因んで、ヘイケガニと名付けられている。平家の怨念が甲羅の模様になったと言う訳だ。ただし、壇ノ浦だけが生息地ではなく、浜名湖辺りから南の沿岸に棲んでいる$${^{*6}}$$らしい。「鬼面蟹$${^{*7}}$$」「鬼蟹$${^{*8}}$$」とも言う。他には「武文蟹(タケブンガニ)$${^{*9}}$$」「島村蟹$${^{*10}}$$」、豊前長門では「キヨツ子(ネ)ガニ$${^{*11}}$$」とも呼ばれていたらしい。
この甲羅の伝説のおかげで、特に怖い顔をした蟹を捕るのは憚れたため、怒った顔の蟹が残って増えていったと言う説がある。海外$${^{*12}}$$でも、甲羅の伝説で選択されたヘイケガニの種(しゅ)の話題が採り上げられている。一方でヘイケガニ$${^{*13}}$$はそもそも食用にならないから、怖い顔だけが残ることはないと言う反論$${^{*14}}$$もあるらしい。
どっちにしても甲羅の模様が人の顔に見えるのは偶然である。ヒト以外の動物が何かを意図して行動したり自分自身を変化させたりすることは一切ない筈だ。虫などの擬態$${^{*15}}$$にしても意味不明のヨツコブツノゼミも全て偶然の産物だろうが、擬人化してその意味を勝手に考えるのは非常に楽しい。
*1 ヨツコブツノゼミの顔(ブラジル 1992年)
*2 20090611 ヨツコブツノゼミ
*3 お魚探検隊 -ヘイケガニを眺めながら想うこと-
*4 壇ノ浦
*5 平家物語(荒山慶一氏作成)
*6 ヘイケガニ 市場魚貝類図鑑
*7 きめん-がに 2 【鬼面 ▼ 蟹】の意味 国語辞典 - goo辞書
*8 大和本草巻之十四 虫、介類 p48
*9 島村蟹 | シマムラカニ | 怪異・妖怪伝承データベース
*10 武文蟹 | タケブンガニ | 怪異・妖怪伝承データベース
*11 千虫譜(拡大画像 3-16) | 描かれた動物・植物
*12 The Samurai Crab by Joel W. Martin
*13 京都大学理学部動物学教室所蔵 『Fauna Japonica. Crustacea』 [353/401] ヘイケガニ��Dorippe japonica, Von Siebold.
*14 自然科学のとびら Vol.5, No.4 神奈川県立生命の星・地球博物館 Dec.,1999 資料紹介 酒井恒博士画・カニ類の原色細密画
*15 昆虫の話題 【擬態(ぎたい)】