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20090617 メスシリンダーの語源

 「メスシリンダー$${^{*1}}$$は和製語」という記述を見かけた。「ドイツ語のmessと英語のcylinderを足した和製洋語だ」とある。そうなのかと思って調べたら、やっぱり間違っていた。

 最近、web上でドイツ語辞典$${^{*2}}$$を見つけた。このドイツ語辞典の便利なところは、ウムラウト記号$${^{*3}}$$付きの母音äöüやエスツェット$${^{*4}}$$ßが簡単に入力できる点である。検索語入力欄の横にそれぞれの文字ボタンが設置されており、ドイツ語に対応していないキーボードからその文字を入力する時にボタンを押せば入力できる様になっている。辞書は独英、英独どちらにも対応している。

 メスシリンダーは英語では「graduated cylinder$${^{*5}}$$」と言うらしいので、見つけたドイツ語辞書に入力してみる。見出し語にgraduated cylinderはない。関連する見出し単語が一緒に表示されるので、探してみるとドイツ語の方の見出し語に「Messzylinder$${^{*6}}$$」があるではないか。メスシリンダーはれっきとしたドイツ語で、和製語でもなんでもない。「シリンダー」が英語にしかない単語だと勝手に思っているから和製語と勘違いしたのだろう。こういうことはよくある。そういう勘違いをする人はそもそも外来語になるような外国語は英語以外ないと思っているのだから仕方がない。そう言えば中学の頃、英語の先生にフランスのパリはParisと綴って「パリス」、レストランはrestaurantで「レストラント」と発音するのですよ、と言われて「へぇ~、日本語の言い方は間違っているのか」と長い間思っていた。後に本家本元のフランス語では同じ綴りで「パリ」「レストラン」と発音することを知って、日本語の方が合っていてむしろ英語が変な読み方をしているだけだ$${^{*7}}$$ということを知った。国際化と英語中心主義とは全く違うのである。

 念のため、メスフラスコ$${^{*8}}$$の語源も調べた。これも和製語だと書いているページがある。英語では「volumetric flask」と言うらしい。ドイツ語では「Messflasche$${^{*9}}$$」である。発音は「メスフラッシェ」。Messkolben$${^{*10}}$$とも言うらしい。メスコルベンの方が一般的のようだ。メスフラッシェはメスフラスコに近い。ドイツ語の発音を無視して我流で「Messflasche」をメスフラスケと読めば更にメスフラスコ近づく。とは言えmess(独)+flask(英)ならば「メスフラスク」、mess(独)+flasco(羅)$${^{*11}}$$は「メスフラスコ」になる。

 メスフラスコの場合はドイツ語起源$${^{*12}}$$とも和製語とも言えそうだ。

*1 情報処理推進機構:教育用画像素材集 - 身近な昆虫・動物や植物と自然環境 - その他?実験器具 - 化学的な現象を調べる(かがくてきなげんしょうをしらべる)
*2 dict.cc | German-English dictionary
*3 パソコンのキーボードからドイツ語のウムラウトを入力する方法
*4 Typefoundry: Esszet or ß
*5 graduated cylinder - Clip Art Gallery
*6 Messzylinder, hohe Form, Klasse B, PP, blaue Graduierung | BRAND
*7 20010705 Bachの読み方
*8 実験器具図録
*9 Beachten Sie diese sechs Punkte bei der Verwendung eines Messkolbens! - 【WUBOLAB】
*10 » Organische Chemie Kompakt - Meßkolben «
*11 Online Etymology Dictionary
*12 メスフラスコ(めすふらすこ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

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