20080210 ダイラタンシー(2)
ダイラタンシー$${^{*1}}$$の続き。ダイラタンシーとは、力が加わることにより、液状のものが固体の様になる現象を指す。ところがその逆、つまり固体に力を加えると液体のように振る舞い出す現象もダイラタンシーと言うらしい。地震による液状化現象$${^{*2}}$$や波打ち際の少し湿った砂浜や雨上がりで湿った校庭などで足踏みをすると水が出てきて、足の周りがびしょびしょになる現象がそれに当たるようだ。ダイラタンシー$${^{*3}}$$というのはどちらの場合にも使われる言葉なのか。
少し調べてみると、液状の物が固形物になるのをダイラタンシーと言い、逆に固形物が液状になるのは「チキソトロピー」と言う、と説明しているページ$${^{*4}}$$を見つけた。
更に、「正のダイラタンシー」「負のダイラタンシー」$${^{*5}}$$という言い方もあるようだ。
正しい使い方はどれなのか。そもそもダイラタンシーはどういう意味か。英語で「dilatancy$${^{*6}}$$」と書く。「dilate$${^{*7}}$$(膨張する)」という言葉から派生したようだ。Reynolds$${^{*8}}$$が1885年に論文の中でdilatancyと名付けたらしい$${^{*9}}$$。粒子状物質の振る舞い$${^{*10}}$$を指す。dilatancyの身近な例として湿った砂浜を踏むと足の周りの砂は乾き、足の下の部分に水がしみ出してくる現象が述べられているらしい。ということは液体が固体になる場合、固体が液体になる場合両方を併せて「dilatancy」としているのではないだろうか。
では「チキソトロピー$${^{*11}}$$」とは何か。非常に細かい粒子が液体に分散した状態$${^{*12}}$$で、その液体が流動性を持っている状態を「ゾル」と言う。そしてこの溶液が流動性を失って固体のようになったものを「ゲル」という。牛乳はゾル、寒天やゼラチンはゲルである。チキソトロピーとは通常はゲルだが、力を掛けるとゾルになって流れ出す現象$${^{*13}}$$を指すらしい。ボールペンのインクがそう言う性質を持っている。ペン先のボールから力を受けている間だけ液体のようになって流れ出て紙に付着する。湿った砂地はゲルとは言わないので前述の現象を「チキソトロピー」と言うのはおかしい。
では「チキソトロピー」に対応する言葉は何か。「レオペクシー$${^{*14}}$$」らしい。
*1 20080209 ダイラタンシー
*2 砂地盤の液状化現象
*3 米村でんじろうサイエンスプロダクション
*4 トマトケチャップは液体?固体?
*5 粘土のダイラタンシーについて
*6 dilatancy. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*7 Online Etymology Dictionary
*8 Osborne Reynolds
*9 Osborne Reynolds- Scientist
*10 orsf1-8.jpg
*11 チキソトロビー(thixotropy)
*12 1-4-3 コロイド
*13 ■ 摩訶不思議な物体ーーそれはゲル
*14 rhe・o・pex・y - goo 辞書