20041119 水飲み鳥
先月に東京駅で買った「水飲み鳥」$${^{*1}}$$は実に不思議である。水を用意するだけで動力が得られる$${^{*2}}$$。
構造は単純だ$${^{*3}}$$。全体がガラスでできており、頭と尻の部分が液溜めになっていてこれらを細いガラス管がつないでいる。ガラス管は尻の液溜めの底の方まで伸びている。頭の方はフェルトのような物で覆われて見えないが、単に液溜まりなったいるだけである$${^{*4}}$$。中に入っている液体は説明書によると色を着けたエチルアルコール$${^{*5}}$$と書いてあった。他の情報$${^{*6}}$$だと「塩化メチレン$${^{*7}}$$」や「エーテル類$${^{*8}}$$」などが使われとあった。とにかく室温に近い沸点を持つ液体ならば何でもよい。エーテル類のジエチルエーテルの沸点が34.5℃に対してエチルアルコールは78℃なので室温に比べてちょっと高いような気がする。購入した平和鳥に入っているのは本当にエチルアルコールだろうか。
水飲み鳥が水を飲む原理も簡単である$${^{*9}}$$。最初に頭の部分を水で濡らしておく。頭から水が蒸発すると気化熱を奪って中の色付きの液体の蒸気が凝結して頭の中の圧力がどんどん下がる。尻の液溜めでは室温によってどんどん液が蒸発して、液溜め内の液面を押し下げて細い管を通じて頭の方に液体を押し上げる。液が頭に溜まるとくちばしを水に漬けるぐらい全体が傾く。傾くと尻の部分の管の先が液面から出てしまうので頭に溜まった液は尻に流れて戻る。戻る液に押されて中の蒸気は頭に集まる。この時、頭のフェルトから蒸発した分の水分も補給する。これの繰り返しだ。
水飲み鳥の動作原理を熱力学などで説明したりして悦に入っているだけ$${^{*10}}$$では駄目である。人が考えた仕組みを理解するだけでは意味がない。なぜその仕組みを生み出せたのか、を考えないと本当の理解にならない。
水飲み鳥が不思議なのはこの点である。水飲み鳥はどうやって発明されたのだろう。何がヒントになったのだろう。構造はコーヒーのサイフォン$${^{*11}}$$に似ている。これだろうか。サイフォンでコーヒーを作っている時に何かの拍子で倒れたのを見て思い付いたのかも知れない。キップの装置$${^{*12}}$$にも似ている。こちらの方が倒れやすいかも知れない。
*1 20041027 科学玩具(2)
*2 bird_mov
*3 TV: Carnot engine movie
*4 水を飲まない水のみ鳥
*5 エタノール(エチルアルコール)
*6 水のみ鳥:持ち寄り情報
*7 参考 ジクロロメタン(別名:塩化メチレン)について
*8 ジエチルエーテル
*9 気化熱
*10 Google 検索: 水飲み鳥 熱力学
*11 珈琲問屋 - COFFEE TONYA -
*12 20010917 キップの装置