見出し画像

20050411 はずみ車式無停電装置

 常時電気を供給しなければならない装置には、電力会社からの送電が一時的に停止しても問題が出ないように工夫されている。インターネットによる情報配信やコンピュータネットワークなどは二十四時間稼働しているので、必ずこういった対策が施してある。

 日頃、電力会社から送電された電力の一部を貯めておき、停電になると貯めておいた電力を供給する$${^{*1}}$$ような仕組みである。UPS(無停電電源装置)$${^{*2}}$$とよく呼ばれる。

 電気を本当にそのまま貯めるのは難しい$${^{*3}}$$。蓄電池$${^{*4}}$$は電気を直接貯めているように感じるが、実際は化学反応を利用している。電気がそのまま貯まっているわけではない。そうなると「電気とは何か$${^{*5}}$$」という話しになる。「電気は電子の流れ」ということであればやはり電池には電気が詰まっているわけではない。電池は回路につなぐと化学反応が進み、それによって回路に電気が供給される仕組み$${^{*6}}$$なので、上で言う電気そのものが貯まっているわけではない。電池は電気が流れる方向が常に一定な直流である。一方、電力会社から供給されている電気はその方向が一秒に50回もしくは60回入れ替わる交流$${^{*7}}$$である。それをそのまま貯めるのはもっと難しい。

 電気をそのまま貯めるのは難しいが、電気はエネルギーさえあれば作ることができるので、エネルギーの形態を変えて保存すればいい。蓄電池は化学反応すなわち化学エネルギーに置き換えられている。エネルギーはぜんまいでもいい。余裕のある時にぜんまいを巻いておいて、いざという時にぜんまいで発電機を回して電気を作ることもできる。大規模な電気の貯蔵は揚水発電$${^{*8}}$$と呼ばれるしくみで行われている。夜の間に電気で水を高い所に汲み上げておいて、電気の使用量が多い昼間に汲み上げた水で発電する。電気を水の流れの勢いに変えて貯めている。

 はずみ車を使った電力貯蔵法がある。はずみ車とは回転を持続させ、回転を滑らかにするための重い車である。身近では、ぜんまい玩具$${^{*9}}$$や自動車のエンジン$${^{*10}}$$などに使われている。

 これを電力の貯蔵に使う装置$${^{*11}}$$がある。日頃は電気を使ってはずみ車を回転させておく。電気が止まってもはずみ車が勢いよく回っていれば暫くの間は止まらない。この「はずみ」を使って停電した時に発電する$${^{*12}}$$。

 電気をはずみ車の回転に変えて貯蔵$${^{*13}}$$するというのは何となく面白いと思った。そういえば、昔にGyrobus$${^{*14}}$$というはずみ車で動くバス$${^{*15}}$$があったのを思い出した。

*1 UPSの基礎知識 | 富士電機の電源ソリューション | 富士電機
*2 IT用語辞典 e-Words : UPSとは 【無停電電源装置】 (Uninterruptible Power Supply) ─ 意味・解説
*3 超伝導エネルギー貯蔵所
*4 20000615 電池
*5 20030427 電気の本質
*6 電池のしくみ | 電池はどんなもの | 電池の森
*7 20020103 電源周波数
*8 九州電力 揚水発電の特徴と仕組み
*9 Vintage toys. Antique toys.
*10 LIGHT WEIGHT FLY-WHEEL
*11 無停電電源装置UPS(UPSとは?-種類について) ■フライホイール方式
*12 電力貯蔵技術 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア
*13 TRIBLOCK SYSTEM
*14 De Gyrobus
*15 TRAVYS Historique

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?