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20100118 PETボトルの蓋

 web上の情報で、PETボトル$${^{*1}}$$の蓋を集めて開発途上国の子供達にワクチンを寄附$${^{*2}}$$をすると言う活動が色々な団体で行われているのを知った。以前から小学生が蓋を集めて寄附活動をする$${^{*3}}$$と言うのは知っていた。しかし小学生ではなく大の大人がPETボトルの蓋を集めて寄附活動をすると言うのは聞いたことがなかった。

 PETボトルの蓋が捨てられて放置されれば地域の美観を損ねるので、それを回収する事は良い事だ。これは小学生でも大人でも同じだ。もっとも蓋よりも大きくて美観を損ねるゴミが大量に捨てられている場合があるので、そちらを回収する事の方が大事であるが、蓋はワクチンに換えられるので注目されるのだろう。単なるゴミはお金にならない。

 だからといって大人がPETボトルの蓋を集めると言うのはどういうことなのか。小学生が、開発途上国の自分と同い年位の子供達が医療不足で死んでいくのを知り、近所に落ちている蓋などを集めて寄附しようと考えるのは普通なことだろう。自分の小遣いは他の事に使いたいし、落ちている蓋を集めて掃除もできて寄附もできるなんて、何て素晴しいことだろうと思いながらやっているに違いない。

 一方、大人が集める事にどういう意味があるのか。大人には小学生の数百から数千倍の自由になる小遣いがある。寄附などPETボトルを集めなくともしようと思えば簡単にできる。PETボトルの蓋が400個で10円か20円分のワクチンになるらしい。PETボトル入りの清涼飲料を一回我慢すれば、十倍の4000個分の蓋を回収したのと同じである。PETボトル入りの清涼飲料は生活必需品でも何でもない。我慢しようとすればいくらでも我慢できる。開発途上国の子供はPETボトル入りの清涼飲料を口にする事なく死んでいく事を考えれば、いくらでも我慢できるだろう。少しだけ我慢したその分を寄附に回した方が効率がいいし、ゴミも増えないので環境にもいい。

 こう考えればPETボトルの回収など大人のやる事ではないことは明白である。PETボトルを回収する気力があるのなら不法投棄された他の大きなゴミなどの回収に尽力すべきだ。こんな事も判らない人々が環境保全が云々と言ってことが多い$${^{*4}}$$ので、環境問題と言うのは本当に厄介な話である。

 因みにPETボトルの「PET」とは「ポリエチレンテレフタレート$${^{*5}}$$」の頭文字である。「ペットボトル」と書くと何やら愛玩動物と言う意味の「pet」が重なって愛着の出る名前だが、塩ビ$${^{*6}}$$やポリエチレン$${^{*7}}$$と同様に単なる物質名である。何か愛玩動物のペットとの洒落を狙って付けた名前かと思っていたが、考えてみると「ガラス瓶」「ビニール袋」など物質名を頭にした言い方は普通なので、「PETボトル」も単にこれに倣っただけだろう。

*1 胎内市_環境・ごみ・リサイクル_もったいないへの道_ペットボトル
*2 世界の子どもにワクチンを 日本委員会
*3 エコキャップ推進協会 - NPO法人 府国生第130号
*4 20090818 普通の人々の環境問題
*5 ポリエチレンテレフタレート
*6 塩ビ工業・環境協会(VEC)トップページ
*7 日本ポリエチレン株式会社

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