19991218 給料を一円玉で支払う
同一硬貨の支払いの話題$${^{*1}}$$のところで何故20枚という数が出てきたかを「日本銀行金融研究所貨幣博物館$${^{*2}}$$」の方に質問したところ明確な答えが返ってきた。
20枚までの根拠は先の話題のところで書いたように「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」(昭和62.6.1法律第42号)の第7条(貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。)に基づいている。この背景としては「旧貨幣法」(明治30.3.29法律第16号)で、金貨を本位貨幣(無制限に流通可能)とする金本位制度を守る主旨から銀以下の素材の通貨(これらは補助貨幣)の取引に金額制限を設定したことに溯るそうだ。
それでは現在は金の保有量に関係なく通貨が発行できる「管理通貨制度」になっているにも拘わらず、この旧法が根拠となっている「20」という数字が何故生きているのだろうか。
そこで又質問をしたら次のような答えであった。硬貨は小額取引には適しているが多量の場合にはその保管、計算等に手数がかかるため、一回の取引(買物等)で多量に受領すると受領者が不便をこうむり、取引の効率が損なわれる恐れがあるという理由から設けられているそうだ。このことは大蔵省造幣局のホームページ$${^{*3}}$$を参照して欲しいとのことである。
因みに公納する場合は無制限となっている(「補助貨ヲ無制限ニ公納受領ノ件」昭和12.9.30蔵理第665号)そうなのでわざわざ銀行で両替しなくてもいいようである。
やはり給料を全部一円玉で支払われるのを防止するための法律であるようだ。
*1 19991212 20枚まで
*2 貨幣博物館トップページ
*3 The Mint Bureau