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20030626 児玉と木霊

 「こだま」という名字がある。すぐ思い浮かぶのは「児玉」である。「子供の玉」というのだから考えてみると何やら凄い名前だ。

 「児玉」という名字の由来は平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍した武士団である「武蔵七党$${^{*1}}$$」の児玉党らしい。児玉党は児玉と言う地名から来ている$${^{*2}}$$ようだ。

 では、何故そこの地名は「児玉」になったのだろうか。「たま」というのは「山頂」「頂上」という意味があるらしい。ついでに「たま」の類語で「たば」というのがあって、これは「山頂から山腹にかけての平坦地」という意味である。多摩や丹波はこれが語源である。

 児玉も場所からとすれば$${^{*3}}$$、「たま」が語源だろう。小さな「たま」で「児玉」になったに違いない。

 愛知県の三河地方には「樹神」という名字がある。「樹神」と書いて「こだま」と読む。これの語源は、かつて山での音の反響の原因と考えられた山の精「山彦」、木の精「木霊」の「こだま」に他ならないだろう。ただ、もともとは「児玉」だったのを木の精の「こだま」の漢字を借りてきて付けたような気がする。

 木の精だから、こだまは妖怪の仲間である。鳥山石燕$${^{*4}}$$の「画図百鬼夜行$${^{*5}}$$」の一番始めに「木魅$${^{*6}}$$」という漢字を当てられて登場する。妖怪の名前が名字というのも珍しい。

*1 神川町-事業のご案内-
*2 児玉党ここによみがえる! 児玉党のおこり
*3 児玉町へのアクセスマップ
*4 20020215 鳴屋(やなり)
*5 百鬼灯篭 ~画図百鬼夜行と妖怪と~
*6 百鬼灯篭 ~画図百鬼夜行と妖怪と~ 木魅(こだま)

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