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20010831 自然数の逆数の和

 自然数の逆数の足していくとどんどん数が増えていく。自然数は$${1}$$、$${2}$$、$${3...}$$と続く。その逆数は$${1/1=1}$$、$${1/2=0.5}$$、$${1/3=0.333…}$$、$${1/4=0.25}$$とだんだん小さくなる。小さくなる値を足していくのだから、どこか一定の値になってもよさそうなものである。$${1}$$兆分の$${1}$$や$${1}$$無量大数$${^{*1}}$$分の$${1}$$を足していってもそんなに数は増えないように思える。自然数の数が有限であればその逆数の和はどこかで落ち着くが、無限個あるのでそうはいかないのだろう。

 自然数の逆数の和$${^{*2}}$$はいくつか。それを示すのはそれ程難しくない。逆数の和をSとする。

$${S=1/1 + 1/2 + 1/3 + 1/4   + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + ...}$$
   $${=1/1+(1/2) + (1/3 + 1/4) + (1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8) + ...}$$

上記の式はそれぞれの括弧の最後の項が$${2}$$の累乗分の$${1}$$になるように括った。括弧の中の逆数を計算しやすい逆数に置き換える。この和を$${S'}$$とする。

$${>S'=1/1+(1/2) + (1/4 + 1/4) + (1/8 + 1/8 + 1/8 + 1/8) + ...}$$

$${1/3→1/4}$$、$${1/5→1/8}$$と置き換えた逆数は置き換える元の逆数よりも常に小さい。従って$${S'}$$は逆数の項目をいくら増やしても常に$${S}$$よりも小さい。

それぞれの括弧の中を計算すると全て$${1/2}$$になるので、$${S'}$$はこれを無限個足していくのだからいくらでも大きくなる。

$${S'=1/1+(1/2) + ( 1/2 ) + ( 1/2 ) + ... → ∞}$$

いくらでも大きくなるS'よりも自然数の逆数の和Sは大きいのだから

$${S>S'= ∞}$$

となって、$${S=1/1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + ... → ∞}$$が示された。

 ところが自乗の形になった自然数の逆数の和になるとある一定の値に近づいていく。

$${S_s=1/1 + 1/4 + 1/9 ... + ...}$$

は$${π^2/6}$$という値にどんどん近づいていく。どうしてこの値に近づいていくのか。なぜ円周率が出てくるのか。その理由の大体の雰囲気がこのページ$${^{*3}}$$で判る。

 上の式の書き方から判るように自然数の逆数の時よりも、かなり飛び飛びに逆数を足していくことになる。だから何となく無限大にはなり難いと想像は出来る。よく考えてみるとただの自然数と自乗になっている自然数の個数は同じである。それは自然数を自乗すればその数は自乗の形になるので、当たり前といえば当たり前である。

 一方、素数の逆数を足していく$${^{*4}}$$と無限大になってしまう。これを考えると素数の飛び飛び具合は自然数の自乗形(平方数$${^{*5}}$$)よりも密であることが判る。未解決の数学問題で「素数は平方数と次の平方数との間に必ずある$${^{*6}}$$」というのがあるらしく、この命題はほぼ正しいと予想されているが、証明は未だなされていない。そうだとすると平方数と次の平方数との間にある素数の個数は1つだけではなく、あるとすれば平方数が大きくなる毎にその間にある素数の個数がどんどん増えていくことになる。素数は考えているよりも沢山あるようだ。

*1 20001105 日本語で一番長い単語
*2 How Big of an Infinity?
*3 ◆なぜそこにπが?◆
*4 ハーディ・リトルウッド予想とアルティン予想
*5 『平方数?』
*6 平方数間の素数の個数

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