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20100212 大家族

 妻と二人の娘達はテレビジョン番組の「大家族もの」を観るのが大好きである。「大家族もの」と言うのは、核家族$${^{*1}}$$なのだが、子供が十人位いる現存の一家を何年も継続的に取材して仕上げた安上がりな番組のことである。本当に現存するかどうかは判らない。通信販売などに出演する素人っぽさを売りにしている俳優を集めて制作している可能性もあるが、数年前の映像も流れたりするので本当にいる家族かもしれない。

 登場する家庭は大抵貧乏である。取材の対象となる大家族は貧乏に限られているかもしれない。もしかしたら子供が十人もいて裕福な家庭というのは現代の日本社会には存在しないのではないか。

 まず、貧乏と金持ちとを単純に線引すれば、貧乏な世帯が圧倒的に多くなるだろう。境界をどこにどう設定するかが問題になる。貧乏と金持ちとの間に存在するこのテレビジョン番組を視聴するだろうと想定される「普通」もしくは「中流$${^{*2}}$$」世帯の層が設定されれば、貧乏世帯と金持ち世帯との数はそんなに変わらないかもしれない。そして「貧乏人の子沢山」と昔から言われているので、取材の対象となり得る大家族は、貧乏な家庭に限られてしまうだろう。番組を面白くするには、子供は小さい方がいい。小さい子供が沢山いると言うことは、親はまだ若く稼ぎが少ないので、更に貧乏の度合いが高まる。

 大家族ものの番組を全て見ている訳ではないので、推測であるが、番組に登場する世帯は例外なく貧乏、つまり狭い家に十人以上の家族がひしめき合って暮らしている設定になっているに違いない。視聴者の殆どに「この家族は、確実にうちよりも貧乏」と思わせる設定の筈だ。貧乏だけど楽しそうに暮らしている、というのがいいのだろう。

 この番組が好きな理由は何か。我が家よりも貧乏な人達がいることを知って優越感に浸れることか。それともとにかく子供が沢山いることが面白いのか。前者の場合、ビル・ゲイツ$${^{*3}}$$から見れば日本人は全員貧乏人なのだろうから、大家族を見て得られる感覚は実に下らない。下らないが、お笑い芸人や喜劇俳優が、観ている自分達よりも馬鹿な事$${^{*4}}$$を演じるのを見て笑うのと同様な感覚だから問題は特にない。

*1 京都府統計データ・統計用語解説・核家族世帯及びその他の親族世帯
*2 20040219 レイク・ウォビゴン
*3 20000317 ビル・ゲイツ
*4 20031018 バカについて

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