20051121 公証制度
公証制度$${^{*1}}$$という仕組みがある。不動産売買や金銭の貸借などの契約書や遺言書などを公正証書として作成すれば、公文書となり高い証明力と執行力とを持たせることができる$${^{*2}}$$。裁判所の判決を待たずに強制執行に移ることができるらしい。また私文書や株式会社定款といった書類の認証$${^{*3}}$$の機能もある。株式会社などは定款の認証がないと設立することができない$${^{*4}}$$。
公正証書は公証人が作成する$${^{*5}}$$。公正証書は法律的な文書であるが、それを作成する人は国家公務員法$${^{*6}}$$上の公務員に該当しない$${^{*7}}$$。ただし公証人は公証人法$${^{*8}}$$に基づき法務大臣が任命する。国家公務員ではないので国庫から給与や諸手当が支給されることはない。国が政令により定めた手数料収入によって事務を運営する。
公証人が執務を行う場所を公証役場$${^{*9}}$$という。法務大臣が指定する地にその役場を設けることになっている。手数料収入の中から個人の負担により役場の維持費、雇用した書記の人件費等の経費を支出する。このように公証人は、仕事の内容が公務員のようだが、立場は個人事業者のようでもある。ただし副業は禁止されている$${^{*10}}$$。
この公証制度は明治十九年にできた$${^{*11}}$$らしい。公証人になるためには、試験に合格するか、長年の法律実務経験して法務大臣に任命されなければならない。ところがこの制度ができて百年以上経った現在まで試験が行われたのは一度しかないらしい。
*1 公証制度について
*2 日本公証人連合会 2 公正証書とは
*3 日本公証人連合会 6 書類の認証について
*4 会社法(定款の認証)第三十条 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
*5 日本公証人連合会 1 公証人とは
*6 国家公務員法
*7 令和3年度における公証人法第13条ノ2に規定する公証人の公募について
*8 公証人法
*9 全国公証役場所在地等一覧表
*10 平成19年度における公証人法第13条ノ2に規定する公証人の公募について
*11 由利弁護士の部屋 公証制度の揺籃期