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20040624 せろんとよろん(2)

 「世論」は漢字使用統制による「輿論」の書き換えなので、戦前には「世論(せろん)」という言葉はなかった$${^{*1}}$$、と思っていた。

 ところがどうも違うらしい。世論(せろん)という言葉は昔からあったようだ。輿論(よろん)と同時に存在していた。代用ではないので意味はそれぞれ違うらしい。

 世論は民衆の心情、輿論は公の意見$${^{*2}}$$と分かれていたという。原敬$${^{*3}}$$は彼の日記$${^{*4}}$$の中でこれらの言葉を使い分けていたらしい。世論は輿論の代用で作られた熟語ではなく、明治の昔から存在していた$${^{*5}}$$。

 世論は「世上の論」で世の中一般の論、輿論の「輿」という字は「多い、もろもろ」という意味で多くの論だから、考えてみるとそれ程意味に差があるとは思えない。そうなると「よろん」だ「せろん」だと目くじらを立てるほどのこと$${^{*6}}$$ではなくなってくる。

 「せろん」か「よろん」か$${^{*7}}$$。格好良さでは「よろん」だろう。もともとは「輿論」だから漢字の複雑さが玄人らしさを醸し出している。小学校で習う漢字が入った「世論」ではいかにも素人っぽい。それでは「世論」は何と読むべきか。漢字熟語の読み方原則$${^{*8}}$$から言えば「せろん」だし、明治の頃から「世論(せろん)」という同じ様な意味の言葉があったのだから「せろん」と読んだ方がいい$${^{*9}}$$。世論が「輿論」の純粋な書き換え、つまり戦後にできた言葉$${^{*10}}$$なら「よろん」と読むべきだろうが、昔から「世論」という言葉があるので「せろん」が妥当である。

 まぁ、そんな程度の話なのだろう。

*1 20040623 せろんとよろん
*2 「よろん」と「せろん」の違いはあるのか?
*3 原敬記念館
*5 原敬事典 「原敬日記」
*6 日めくり ~・~・世論・~・~ 本来の読みはセロンだが
*7 ほんまかいな 「世論(せろん)」はおかしいで!
*8 20030401 雑記草の由来
*9 大谷大学 読むページ>バックナンバー>今という時間(とき) 「世論」 竺沙 雅章(ちくさ まさあき)
*10 言葉について 当て字から作られた言葉の例

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