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20010701 ジャケット買い

 学生時代にCDのジャケット買いをしていた事がある。「ジャケット買い$${^{*1}}$$」とはCDの箱のデザインだけを観て中身を一度も聞かずに買うということである。中身の音楽とジャケットのデザインとは大抵、合っている。中身がクラッシックなのにジャケットのデザインがサイケデリック$${^{*2}}$$というのはない。いくらジャケットに題名や演奏者の名前が明記してあってもこういうちぐはぐなことはしない。

 これを極めていくともっと狭い分野でも中身を聞かずしてジャケットを見ただけで大体どんな感じの曲か想像できるようになる。筈である。

 この買い方は輸入盤CDに対して適用していた。当時はインターネットという便利なものがなかったので、輸入盤に関する情報はかなり不足していた。今はweb上で簡単に視聴$${^{*3}}$$が出来る。ジャケット買いという行為は既に絶滅したと考えてもいいかもしれない。

 ヨーロッパのマイナーなポップミュージックに凝っていた。マイナーにはマイナーの臭いがあってCDのジャケットからその臭いがプンプン臭ってくる。だから買ってから聞いてみると大抵は自分の思った通りの音であった。

 印象深いCDの一つに4AD$${^{*4}}$$というヨーロッパの零細レーベルから出されていた「Colour Box$${^{*5}}$$」というグループの「Colour Box」という名のCDがある。このCDのジャケットには数人の日本人女性の写真と柿の絵がコラージュされている。柿の絵の下には「日清紡績株式会社$${^{*6}}$$」という明朝体の活字で書かれた文字があり、その下には「綿 100%」と小さく書いてある。そして日本人女性の一人には「八汐路まり」と小さく名前が書いてあった。もう、これだけ書けば「臭い」が発散しているということが解るだろう。

 「八汐路まり$${^{*7}}$$」という人が一体どんな人なのか判らなかった。何となくどこかで聞いた事があるような気がしていたが、当時は簡単に調べる事が出来なかった。インターネットで検索してみる。数は少ないがあっさりと情報が得られた。宝塚$${^{*8}}$$女優であった。

 インターネットは一般の人の知識をつなぐという意味において素晴らしい機能を発揮していると言える。

*1 ジャケット買いのすすめ
*2 The Psychedelic Furs
*3 CDNOW
*4 4AD
*5 Colourbox
*6 日清紡ホームページ -- NISSHINBO
*7 ウエスト・サイド物語/オクラホマ!
*8 宝塚歌劇のホームページへようこそ

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