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20010422 Sinn

 近くの高級時計や宝石を扱う店$${^{*1}}$$で色々な時計を見せてもらった後で、Sinn$${^{*2}}$$という時計のカタログが欲しいと言ったら、「少し書き込んでありますが、これしか今ございませんので、これで宜しかったらどうぞ」と言われて渡された。

 それにはボールペンでこんな書き込みがある。

 『左利き限定ではない。

 親指で操作し安いため。

 対テロリズム

 5000m防水(オイルが全体に浸透しているため防水性ばつぐん)
※オイル注入時に気泡が少々入る。100%気泡を抜くことは不可能。
 寒い時期に気泡が出やすい』

 「左利き・・・」と「親指で・・・」はmodel 503. EZM1$${^{*3}}$$という名の時計のページに書き込まれている。これはドイツ税関犯罪局の税関特殊部隊である税関中央支援グループ用のモデルで、行動中に手首を痛めないように竜頭と押しボタンが3時側ではなく通常の時計の反対の9時側に付いている。左利きの人が右腕に付けると竜頭が手首側に来るので、この書き込みは「左利き用ではないか」という質問に対する説明であろう。

 「対テロリズム」と「5000m防水・・・」はmodel 403. GSG9$${^{*4}}$$というモデルに付いての書き込みである。GSG9$${^{*5}}$$というのはドイツ内務省直轄の国境警備隊の対テロリズム専門特殊部隊のことらしい。この時計はGSG9のダイバー部隊用だそうである。防水性を高めるためにシリコンオイルを封入$${^{*6}}$$している。製品にはどうしても気泡が入るらしく、その言い訳が書き込んである。「寒い時期に気泡が出やすい」というのはどういうことだろう。暑いと空気の気泡が膨張して目立つような気がするが、寒いとシリコンオイルが収縮して隙間が出来てそれが気泡になるのだろうか。

 店員が商品についてこれぐらい勉強していると頼もしく感じるが、その店で時計を買ったことはまだない。

*1 宝石の八神
*2 ドイツの腕時計製造会社
*3 Modell EZM1
*4 Modell EZM2
*5 Grenzschutzgruppe 9
*6 このため水中ではっきり文字盤が見えるらしい

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