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20070507 書留の記号(2)

 「マルツ」について読者の方から情報を頂いた。マルツ$${^{*1}}$$とは、受取人に直接手渡ししなければならない書留郵便を配達人が一旦持ち帰った場合に、持ち帰ったことを示すための印である。そうなった書留を受け取ると封筒に「マルツ」印が附されている。この印は「マルツ」もしくは「マルツー」と呼ばれている$${^{*2}}$$らしい。

 書留を受け取る側にとって、一旦持ち帰ったかどうかは全く関係のないことなので、この「マルツ」印が何のためにあるのか、更には何と呼ぶのかも知る必要はないが、前から気になっていた。調べてみるとマルツの由来は「不在通知」の「通」を片仮名で表したのではないか、と言うことであった。不在通知なら「マルツ」よりも「マルフ」になりそうだ。そもそも郵便職員の符丁なので何でもいいのだが、どうも腑に落ちなかった。

 どうやら通知の「通」ではないようだ。「不在留置$${^{*3}}$$」の「留」の字らしい。「トメオキ」なのに何故「ツ」なのか。以前は「留」の字を書いていたようだ。

 この「留」の字を崩すと上の部分が片仮名の「$${^{*4}}$$」になる。「留」の俗字$${^{*5}}$$の「畄」でも上の部分が「ツ」になっている。これが由来と言う。

 下の「田」の部分はどうなったのか。一方、「留」をどんどん崩していくと平仮名の「る」そのものになる。平仮名の「る」は「留」からできている$${^{*6}}$$。「○る」にはならなかったのか。

 崩し方によっては下の「田」がかなり小さくなる$${^{*7}}$$場合もある。これが片仮名の「ツ」と勘違いされて定着したと考えた方が「通知」の「ツ」よりもすっきりする。

*1 marutu.jpg
*2 20070104 書留の記号
*3 内国郵便約款 第6節 郵便物の変換
*4 ryuu.gif
*5 俗字の字典
*6 日本語学概論ブレイクタイム 五十音図(平仮名および字源)
*7 ryuu2.gif

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