見出し画像

[教育の闇]学校体育の肌着問題


「体育の時は、肌着は着ないようにしましょう。」

今の世代はともかく、現在大人の世代の方なら一度は小学校でこのような指導を受けたことがあるのではないでしょうか。
まあ、根本としてその考え方はおかしいと思うのですが、

昔ならまだしも、幼児期の子どもにもジェンダーが尊重される現代においてあまりにも時代遅れな発想ですよね・・・

ですが、学校でそういった指導がされているのには、学校なりの理由があるのです。

実は私が教員として小学校にいたときにも、このような指導をしていた先生がいて、保護者からクレームが来たことがあります。

今回はそんな経験も踏まえ、

①「肌着禁止」の理由
②「肌着禁止」がなくならないワケ

に分けて考察していきます。


①「肌着禁止」の理由

まず、前提としてお伝えしておきたいのは、ほとんどの学校では、体育の時間の肌着を禁止などしていないということです。これだけは、誤解しないようにしてください。

どうして「肌着禁止」の指導がなされているのか、それはずばり、

「肌着をそのまま着ていると体が冷えるから」です。

少なくとも私のいた学校の中では、この体育の時に肌着を着ない理由は周知の事実でした。「肌着禁止」に賛同している人はいませんでしたが。

そもそもこの指導はよっぽど頭のおかしい学校でもない限り、低学年のみに指導されていることです。
免疫力の低い幼児期に体温を下げることは健康上よくないことは明らかですので、まあ理由としては正当ですね。

「そんなの替えの肌着を持っていけばいいだろ」

おっしゃる通りです。

「替えの下着・肌着を持参し、汗をかいたら着替える」

これは実は小学校の前段階、保育園や幼稚園ではごく当たり前に行われていることでもあります。

では、なぜ学校ではそのような指導がされてしまうのか。それが②につながっていきます。

②「肌着禁止」がなくならないワケ

なぜ、保育園や幼稚園でやっているのに学校でそういった指導がされてしまうのでしょうか。

その理由の一つとして、小学校のタイトなスケジュールが挙げられます。

よく、「肌着禁止問題」と並べて「男女着替え一緒問題」が挙げられますが
これもこの理由で説明がつきます。

休み時間が5分だったりする小学校では、着替えによって削られる時間はかなり大きいです。
授業の前と後に着替えがあることを考え、
単元によっては用具を準備して、
準備体操と整理体操までしたら、
実際内容をやる時間って15分くらいしか取れないこともあったりします。(単元と学年にもよりますが)

2時間続きで体育が組めればそれがいいんでしょうが、
大きい学校であれば体育館や校庭の使用の関係でそうもいきません。
(週のどこか1日4時間国語とかになってもいいなら別ですが)

まあとにかく小学校ってゆとりがないんですよ。
「ゆとり教育のやりたかったことってこういうことなんだろうな」
としみじみ思います。

とにかくそんな中で、
①体育の前は男女で教室を移動し、全員が移動し終えるまで着替え始めない(ほとんどの小学校には更衣室はなく、あっても女子更衣室のみ)
②肌着を着ていた児童には、肌着を替えているかどうか確認し、替えていな ければ替えさせる
③体育の後は男女の着替えが全員終わるまで、お互いの教室に入らないように管理が必要


テレビのインタビューで学校を責める保護者の方に声を大にして言いたい。

これ、現実的じゃないの分かります?

②③とか、学年に必ず男女の教員を配置する必要があるじゃないですかw
単学級の学校はどうします?
体育の度に女性職員呼んできますか?
低学年には、着替えに補助が必要な子もいますよ?
男性教員が女の子着替えさせるのはマズイんですよね?
じゃあ男の子もそうしないと子どもは納得しませんね。男手はどうします?
着替え終わった子はどうしましょう?
大人がいない体育館や校庭に放っておきますか?
低学年に教室でじっとしてろは無理ですよ?
教室で暴れたら100%いつかは事故が起こります。
肌着を持ってきた子とそうでない子で着替えの時間に差ができますよね?
早く体育やりたい子どもはなんていうでしょう?
教員が管理すればよいですが、着替えに人員割かれてますよね?

正しくはないですが、
「肌着禁止」の発想に至るのも、
着替え男女一緒にするのも、頷けます。

これ、全部一発で解決する方法があります。
国がお金をかけて、更衣室と人員を割いてくれれば早いですが、
それは高齢化やら税金の使われ方やらほかの問題を内包していて、脱線しちゃうのでそれはナシで。

それは、学校現場にゆとりをもたらすことです。具体的には、
①行事の削減
②授業単位数を減らし業間を長くとる or 1限あたりの配当時間を増やす
この辺は学校に言っても変わりません。

学校現場をひっ迫させがちなのは行事です。
行事をなくすのは校長判断ですが、
「隣の学校はやっているのに」「去年はやったのに」
なんて言われてしまいますから(組体操や夏休みのプールがなくならない原因の一つはこれです)校長のせいにするのも違いますね。
やはり上から、行事を削減する命令を出してもらえないと厳しいです。

配当時間はいじれそうですが、現状の単元構成が変わらないと厳しいので、やはり学校に言っても変わらないでしょう。

他にも小学校をまつわる問題は学校の「多忙さ」を解消することで解決すると思います。

そのために、私たちができることはなんでしょうか。


最後まで読んでくれてありがとうございます。
さあ、これを聞いてどう感じたでしょうか。
もちろんこれは私なりの意見であり、ほかにも考え方はあると思います。
そういった方はぜひTwitterまでご意見ください。https://twitter.com/zakkie_00216

教育は未来を創る営みです。それを変えていくのは私たち大人の役割です。
一人でも多くの人が、子どもを取り巻く環境について考えてくれたらと思います。


いいなと思ったら応援しよう!