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太宰治「桜桃」を読みました。

みなさん、こんにちは。松本浩二です。

太宰治の「桜桃」を読みました。文春文庫から出版されている11篇が収められた文庫版。10ページの短編作品です。

妻と3人の子供と暮らす「私」からの視点で描かれた物語です。「私」は家の事や子育ての役に立てず、妻に対する不満も内に秘め、また、自分に対する妻の不満にも気づきながら日々を過ごしています。

「子供よりも親が大事」

「桜桃」より

この小説の始まりを告げ、幾度か登場する文言です。「私」はこの思いを抱えながら内に秘めた思いを語っていきます。

家庭内に居場所がない自分の境遇を認識しつつ、親である前に一人の人間としての自分の思いも抱えている、それでも子供がいる手前、その思いを発露することができないどうしようもない「私」が描かれています。

街行く人たちも淡々と過ごしているように見えて、みんな何かしらの内なる葛藤を抱えているのだろうと思わせてくれる作品でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また。


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