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#87 逃げたら増える痛み

物心ついた頃からずっと偏頭痛という病気を持っている。
そしてそれは時に私を立てなくするほど強い痛みを伴うので、鎮痛剤とはずっと友達だった。

社会人になってから倒れている場合ではなくなったので早め早めに鎮痛剤を飲む癖がついてしまった。それで今年に入ってから今まで、頭痛の起きない日の方が少なくなってしまった。これは薬物乱用頭痛というものである。

実は三年ほど前、東京で一番だと呼び声の高い頭痛外来に行った時もその診断をもらった。しかしそこはあまりに人気すぎて診察までざっと4時間弱の何とも厳しい待ち時間を要したのでその後通うことが出来なかった。さらに初診の時、チラッと言った「気分の落ち込み」を重く受け止められたのか、抑うつ剤を処方されてしまい、ちょっと流石にその診断には抵抗があった。それもあって足が遠のいた。

その後しばらくは市販薬を乱用してその場しのぎを続け、ついに市販薬が効かなくなってきた大学4年に二軒目の頭痛外来に行った。

近所でなかなかの評判であったので選んだのだが、初診から強めの薬を平気で出される。主に鎮痛剤と脳の血管の収縮を促す薬、あと漢方。私は自分で頭痛ダイアリーやらをつけていて「低気圧と気温が急に上がる日に弱いです」と話すと「それは関係ない」と真っ向から否定されてしまった。「女性の頭痛はほぼほぼホルモンバランスです」と強い語調で言う。ではこの頭痛ーるに比例するような頭痛の起こり方はなんなんだ…と心では思いつつも、強い薬だけあって貰う薬はとてもよく効いていたので通ってしまった。

それで強い薬を服用する回数も増えた。

10年以上飲んでいる強めの市販薬に加え、専門家の出す最強の鎮痛剤類…を飲みまくって社会人一年目の1年間を過ごし、見事に頭痛が重症化した。
頻度も多くなったし、来た時の強さも明らかに強い。しかし鎮痛剤さえ飲めばその時の痛みから逃げられる。その時は。
月の中で頭痛のくる日が20日を悠に超えたあたりからいよいよまずい気がすると思い、三軒目の頭痛外来に行った。

そこで出た診断が二度目の「薬物乱用頭痛」であった。

逃げようとすればするほど偏頭痛というのは治らない。むしろ悪化の一途、ということを身を以て知った。予防薬を処方されて、「ザキコさんはちょっと蓄積が段違いなので予防薬が効くまで半年くらいかかるかもね」と言われてしまった…。シンプルにとても悲しかった。

今朝、一応脳の病気がないか検査しましょうということでMRIを撮ってきた。
あんなに高い金を払って人工的な穴の中、磁場の耐えがたい騒音を聞く。。。何とも嫌な検査だった。

生きているだけで痛い、なんて人間はむごい。
私の偏頭痛もちは明らかに遺伝であり一生付き合っていくものらしい。
そんな先天性の痛みをもらわなくても十分人生は痛いよ神様!と叫ぶ心がある。23歳、何の能力も地位も富もないし愛もない。痛みだけはこの身体にしっかりと宿る。切なすぎて人工的な穴の中でぽろりと泣いてしまった。

浮かぶような酩酊の中、抱き潰されていた青の終わりのあの頃、大事なことだけ言えなかった。絶対に目を見て口にしなければいけなかった思いだけ言えなかった。プライドが傷つくのを恐れたし、何よりも相手を信用していなかった。でも確かに持っていた愛だけ、愛だけはちゃんと伝えたかったのに…。

最近友達だとずっと思っている人に電車で距離をぐいって詰められた。
別に隣に人はいないはずなのに、体が当たるくらい近くに来た。
その意図はよく分からないけどとても動揺してしまった。

愛や恋が随分と遠くに行ってしまっていた証拠だと思う。
私は悪気もなく異性をすぐに友達にしてしまうけど、それを踏み越えたかった人から反抗されることも少なくないし…。
悲しそうな顔を最後に失った異性の友達が頭を過っては消えていく。

痛みはなくなって欲しいし、
好きな人欲しい。

夏が来るし、そろそろ頼むぜ〜(神頼りな女)

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