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Hard Rock Calling! 4 Podgorica
ポドゴリツァ、という地を一体どれくらいの人が知っているだろうか。
地球の歩き方にも(ほぼ)見放された地・ポドゴリツァに、私が赴いたのは6年ほど前のことだった。
理由は明快である。
そこにハードロックカフェがあるからだ。
というわけで第4弾ではポドゴリツァを取り上げる。
ポドゴリツァはこんな街
私がポドゴリツァの単発旅行記を書くことはない。
なぜならポドゴリツァでは観光をしていないし、マグネットを保有してもいないからである。
よって、本記事でポドゴリツァについて詳しく述べておくことにする。
ポドゴリツァ(Podgorica)は東欧バルカン半島に位置する国・モンテネグロの首都であり、人口約15万人と同国最大の都市である。
集落としての歴史は石器時代後期にまで遡り、ローマ時代にはすでに1万人近い規模で自治が行われていたとされている。
その後オスマン帝国の支配下に置かれた時代を経て、モンテネグロ公国・王国の時代になると、商業都市として発展する。
しかし、ユーゴスラビアの一部として迎えた第二次世界大戦で街の多くが破壊されたため、当時の面影を今に伝えるのはほんの僅かである。
ポドゴリツァへ
その朝、私はコトルにいた。
コトルはモンテネグロ西部の海沿いに位置する街であり、世界遺産にも認定された旧市街が美しい、モンテネグロきっての観光名所である。
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しかし、今回は本題ではないし、いずれ記事にすると思われるのでここではこれ以上取り上げない。
前日、ホテルの隣で夜通しクラブイベントが行われ、すこぶる寝覚めの悪かった私は、海沿いに位置するバスターミナルへと向かっていた。
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数多いる猫を見て、いささか気分を和ませながらターミナルへ。
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Podgoricaと書かれたバスに乗り、一路首都へと向かう。
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アドリア海沿いに位置するコトルから、一路内陸へとバスは進む。
途中までは至って順調に進んでいたバスが、突如進まなくなる。
よく分からなかったが、おそらく事故による渋滞に巻き込まれたようだった。
山間で待ちぼうけを食らう我々乗客。
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こういうことはよくあることだ。
イライラなどしてはいけない。
スマホを見るか寝るかして適当に時間を潰す。
ようやく走り出したバスが、ポドゴリツァへついたのは予定より1時間以上も遅れてのことであった。
何もない街
ようやくポドゴリツァへたどり着いたところで、このポドゴリツァという街には一体何があるのか。
旅人のバイブル、地球の歩き方の言葉に耳を傾けたい。
残念ながら第2次世界大戦によって町の多くは破壊されたため、古い建物は少ししか残っていない。~中略~見どころはあまり多くはないが、国際空港を持つ~中略~観光地とは言えないまでも、観光の起点にするには便利な町と言えるだろう。
具体的なスポットとしては申し訳程度に2つの美術館が取り上げられているが、書かれているのは営業時間だけである。
仮にも一国の首都でありながら、地球の歩き方にここまで匙を投げられた街を私は他に知らない。
このポドゴリツァという街は、その観光資源の乏しさから、しばしばヨーロッパで最も醜い首都、などと揶揄されているのである。
(Podgorica the ugliest などでググれば色々垣間見る事ができる。)
というわけで、ポドゴリツァという街に、そもそも期待はしていなかった。
それでも私は来た。それは、そこにハードロックカフェがあるからである。
なので、ポドゴリツァへの滞在時間はほとんど取っていなかったわけなのだが、そこへ来てのバスの1hの遅延はあまりに痛かった。
空港へ向かう時間になってしまったのだ。
しかし、ハードロックカフェに行かないのであればなんのためにポドゴリツァへ来たのかわからない。
どうにか向かうことにした。
まずはUberを確保。空港とハードロックカフェは方向的には逆方向だが、いちいち拾い直している暇はないので、英語の怪しい運転手に「まずハードロックカフェに行ってくれ、空港はそれからだ。」と地図を見せて交渉。
どうにか伝わったようで、Uberはハードロックカフェがあるはずの方角へと進んでいった。
「すぐに戻る」と言い残して車を降りる。
見上げると馴染みのある看板が出迎えてくれた。
Hard Rock Cafe Podgorica
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よかった。ここで合っていた。
ショッピングモールのような施設の一角にハードロックカフェは位置していた。
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2015年2月にアドリア海沿域で初のハードロックカフェとしてオープンしたハードロックカフェ・ポドゴリツァは、まだ真新しいような、熟れていないようなそんな空気をまとっていた。
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イギリス滞在期間中これが節目の10店舗目となるハードロックカフェだった。
自分の中で密かに定めていた目標店舗数を達成した瞬間である。
しかし、感慨にふけっている時間はない。
文字通り時間がないのである。
万一しびれを切らしたUberが去ってしまえば、いよいよ飛行機への足が立たれることになってしまう。
早速中へ。
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とにかくピンバッジの中からめぼしいものを選び出す。
すぐにレジを通す。
終了。
待っていてくれた車に戻る。
モンテネグロにきた主たるイベントはわずか3分で幕を閉じ、あとは帰るのみとなった。
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そんなハードロックカフェ・ポドゴリツァのピンバッジはこちら。
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塔らしき建物と大聖堂らしき建物が描かれている。
しかし、これはどこなのだろう。
地球の歩き方にはそれらしき建物は記されていない。匙を投げているのだから、やむ無しか。
調べてみた。
まず右の塔はClock Towerではないかと思われる。
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17世紀後半に建てられ、世界大戦の戦火を逃れてオスマン帝国時代の歴史を今に伝える数少ない遺産であるらしい。
また、左の大聖堂は復活大聖堂である可能性が高い。
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完成したのは2013年と近年であるが、セルビア正教会の重要な位置を占め、バルカン半島最大となる約11トンの鐘をその塔に有しているそうだ。
内部のフレスコ画も壮観であり、「この退屈な街で唯一訪れるべき場所」などと紹介されている。
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By Sailko - Own work, CC BY 3.0,
また、せっかくなのでTシャツも購入した。
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街中でこのシャツを着ている男がいたら、それが私である可能性は無視できない。
なお、この記事は本Tシャツを着て執筆された。
ハードロックカフェという、ポドゴリツァへ行く唯一のモチベーションが果たされた今、私が再びあの悲しみを暖炉で燃やし始めたような街の土を踏むことはもうないかもしれない。
ここまで記事を書いていて、私がポドゴリツァという街を嫌っているような印象を与えている可能性がある。
しかし、好きの反対は嫌いではなく無関心である。
こうしてわざわざ記事にするあたり、
私の心を捉えて話さない何かがポドゴリツァにはあるのかもしれない。
さらに過日、モチベーションが再燃するかもしれない情報を入手した。
ポドゴリツァの前に訪れていた街コトルにハードロックカフェのショップができたというものである。
そうなると話が変わってくる。
再びあの地を訪れた際には、ピンバッジに描かれた数少ない名所をしっかり訪れて見ようではないか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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