
伝説の怪獣とRPGの世界・アーカート城
海外旅行は一種の非日常感に浸ることができるのがその魅力だと思っている。ただ街を歩いていても、明らかに日本とは違う文化を持ったところにいるというその空気感がワクワクを与えてくれる。
しかし、文化どころか現実すらも飛び越えてゲームの世界に迷い込んだような場所にも巡り会える事がある。
今回はそんな場所、アーカート城について紹介したい。
アーカート城はこんなところ
アーカート城は、スコットランド北部・ハイランド地方にある城跡だ。
1230年に建城されるも、1692年にイングランド軍によって破壊され、その後300年を超えて残骸を晒している。
前回のエディンバラから電車で4時間弱北上したハイランドの中心都市、インヴァネスにほど近い湖畔に佇んでいる。
そして何を隠そうその湖こそが、あのネッシーでおなじみのネス湖なのだ。
アーカート城との出会い
前回、私がヨーロッパで初めて訪れた場所としてエディンバラを取り上げた。しかし、私がスコットランドを訪れようと思った理由はエディンバラはなく、このアーカート城だったのだ。
イギリスに行くことを決めた当時、新個人旅行というガイドブックシリーズがあり、そのイギリス版を購入した私が、早速目を通していたところ、
巻頭の「イギリスの必見スポット10!」みたいな特集の最後の方にアーカート城の姿があった。その写真を見た際、その湖畔に朽ち果てた姿を晒す中世の古城の姿に「こんなドラクエみたいなところが実際にあるのか!」といたく感激し、ここに行ってみたいがためにスコットランドを目的地に加えたのであった。
アーカート城へのおすすめアクセス法
アーカート城へ行くにあたっての起点は大抵の場合インヴァネスの街からになるだろう。エディンバラから電車やバス、あるいはロンドンなどから飛行機でのアクセスも可能だ。
インヴァネス駅・外観
そしてインヴァネスからアーカート城に関してはバスで最寄りの街であるドロムナドロケットに行く方法もあるが、個人的には船でのアクセスをおすすめしたい。
Jacobite Cruisesというツアー会社が、インヴァネス市内発着でバス→クルーズ→バスというツアーを組んでいる。
これで水上からアーカート城へアクセスができる。徐々に近づいてくる城を眺めるのは感慨もひとしおだ。そして湖上とは当然ネス湖のことなので、あのネッシーに出会える可能性もあるかもしれない。
※なお、Jacobite Cruisesのツアーは何種類かあり、種類によっては城に上陸せず、クルーズだけのものもあるので注意してほしい。
クルーズ船
ネス湖をクルーズしながら、アーカート城へ
ネッシーは公共交通機関?
なお、私は残念ながら利用したことはないのだが、Google曰く、以前はネッシーに乗ってネス湖を移動することができたようだ。
アーカート城から、インヴァネスとは反対方向の端、フォートオーガスタスまでネッシーに乗ればバスよりも早く移動することができたらしい。Googleがそういうのだからきっとそうだったのだろう。
「できた」と過去形なのは、残念ながら今はGoogle Mapの経路探索では出てこなくなってしまっている。
昨年試したときはまだ表示されていたのだが、引退してしまったのだろうか。コロナ禍でお休みしているのだろうか。運行(?)再開が待ち望まれるところだ。
なお、気分だけでもネッシーに乗ることはできる。
Google Mapでネス湖付近を表示させてほしい。右下のストリートビュー切り替えのアイコンが人の形からネッシーに変わっているのがおわかりいただけるだろうか。
ペグマン(切り替えアイコン)がネッシーになっている
そして、ネス湖上にもストリートビューが存在する。是非、ネッシーに乗ってネス湖遊覧する気分を楽しんでほしい。
なお、あまり360度見回さない方が良い。現実が見えてしまうから。
湖上のストリートビュー
アーカート城上陸
湖からの遠景もいいが、やはり上陸してみたい。橋を渡って城の内部へ。
ドラクエ5の序盤に夜の廃城に冒険に行く場面があったと記憶しているが、
まさにそんな感じの廃城の世界だ。(ゲームではもっとしっかり建物が残っていたとは思うが。)
そして、比較的保存状態の良いGrand Towerには登ることができる。
Grand Tower
Grand Towerからみたアーカート城とネス湖
※なお、写真は初来訪時のものと昨年再訪したときのものが一部混在していることはご容赦いただきたい。
アーカート城は細長い湖であり、最深は29mほどあるらしい。
残念ながらネッシーを見つけることはできなかったが、穏やかなネス湖を眺めていると、どことなく居ても不思議はないような、そんな気持ちにさせてくれる。
ネッシーについて知る
アーカート城のあるドロムナドロケットの街にはネッシーの資料館がある。クルーズでアクセスした場合、ツアーによってはそこにも行くことができる。
中では、これまでのネッシーの目撃情報や過去の調査の歴史などを知ることができる(日本語のパンフレットがあったはずだ)
かつての調査に使用された潜水艦
ネッシーの目撃情報はアーカート城の築城されるずっとまえの565年まで遡るらしい。最近の調査で巨大ウナギだったのではないかという説があるようだが、仮にウナギの親戚だったとして数十メートルサイズのウナギなのだとしたら、まぁそれでも別に構わないだろう。
なお、ミニサイズのものなら買って連れて帰ることもできる。
私の家でも1匹のタータンキルトを身に着けたネッシーがデスクのそばで、この記事の執筆を見守ってくれている。
アーカート城(インヴァネス)の食事
アーカート城のビジターセンターにもカフェ程度はあったが、
食事を摂るならばドロムナドロケットかインヴァネスだろう。
私はインヴァネスでは中心部にあるNo.27というレストランを利用した。
なかなか繁盛している店で、物珍しさもあって鳩肉の料理を頼んだ。
やや硬かったが味はまぁまぁという印象だ。メインのラム肉が美味だった。
鳩肉の前菜
アーカート城とインヴァネスのマグネット
アーカート城のマグネットがこちら。
初訪問した際にはマグネットを集めていなかったので、後にエディンバラを再訪した際にエディンバラの土産物屋で発見した。
観光で賑わっている街のそれなりの規模の土産物屋であれば、大抵近隣の観光地のマグネットもあるものなのだが、ネス湖のマグネットはなかなか見つけられなかった。くまなく探して諦めかけた頃、あまり大きくなく、さして繁盛もしていない土産物屋に1つだけあるのを発見したのがこれだ。
見ての通り長い間売れなかったのだろう。買った時点でかなり薄汚れていた。店主も「まさかこれを買うやつがいるとは」みたいな顔をしていた。
中には物好きもいるのだ。
薄汚れてはいるものの、ネス湖とアーカート城、そしてネッシーまできっちり大事な要素が入っているので、存外気に入っている。
そして、こちらがインヴァネスのマグネットだ。
インヴァネスの街自体は正直言ってそれほど観光名所が多いわけではない。
そんなインヴァネスにおいて、街のランドマーク的存在であるインヴァネス城のマグネットになっている。
インヴァネス城は現役バリバリの裁判所として使われているため、裁かれでもしない限りは入ることはできない。
インヴァネス城はアーカート城と比べて歴史は浅く19世紀に築城されたらしい。それもあってかかなり小綺麗な印象だ。
インヴァネス城
インヴァネスからロンドンへ行くなら
インヴァネスからロンドンへ(逆でも良いのだが)移動する場合、距離的に飛行機が一般的だが、夜行列車もおすすめしたい。
英語とゲール語が併記された看板
Caledonian Sleeperという夜行列車が、スコットランド各地とロンドン・ユーストン駅を結んでいる。
1等車の内部
寝て起きたらロンドンに着いているので、ホテル代の節約にもなるし、非日常のワクワクをより味わうことができる。
なお、私の場合は寝て起きてもまだ着いておらず、おかしいなと思っていたら車掌が入ってきて何やら早口で言われたと思ったら、運行途中で運休になるという、今考えても意味不明な事態により、わけも分からずバーミンガムで降ろされ、他の客とともに別の列車に乗り換え、ロンドンに着いたのは正午にもなろうかという頃であった。
まぁそれは私が特別運が悪かっただけなのだろう。夜行列車をおすすめするのは決して道連れを増やしたいからではない。決してない。
以上、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
次回は、イギリスを離れ、火のお祭りの街を取り上げてみたいと思います。
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